2015年01月19日

Kindle出版とオンラインレッスンの共通点

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


冒険家の皆さん、今日も飛行石を手に持って「バルス!」と叫んでいますか。

さて、前回はKindleで出版することが想定外に簡単だっただけでなく、販路が世界中に広がっているので教材などを出版するには効果的ではないのか、という話をしました。その後、そもそも日本語教師はどの程度、Kindleを使っているのかが気になったので、日本語教師の2つのグループで簡単なアンケートをしてみました。Facebookのグループにはもともと「質問」という機能があるので、アンケートをするには非常に便利ですね。

結果としては、一般的な日本語教師のグループでは、15対8で、すでにユーザーである人が多かったです。一方、基金の同期のグループでは5対4でユーザーでない人のほうが多かったです。合計すると19対13でユーザーの方が多いということになりますね。割合で言えば、回答者の59.4%の日本語教師がKindleで本を読んでいるということになります。国際交流基金の機関調査2012では63,805人の日本語教師がいますから、アンケートと同じ割合だとすると37,600人程度がKindleを使えるわけで、教師用の指導書を書けばその程度のマーケットはあるということになります。そして、何より大事なのは、これより多くの人がKindleは持っていなくてもAmazonのIDは持っていて、その全員に教材などを出版する機会があるということです。

次に教師用の指導書でなく、学習者用の教材を考えてみましょう。文化庁の調べ(2012)では日本国内の日本語学習者数は139,613人にすぎません。同じ年の国際交流基金の調査では海外の日本語学習者数は3,985,669人ですから、28倍以上もの市場が開けることになります。

そこで僕が思うことは、Kindleで出版するということはオンラインレッスンに非常に似ているなあ、ということです。

オンラインレッスンでは、場所に縛られないのでニッチなニーズに応えることができます。たとえば「スタジオジブリの作品以外を教材にするつもりなんかありません」という人でももしかしたら朝から晩までそういう教え方ができるかもしれませんが、教室に通うスタイルの従来型の教育機関では、その教室に通える地域に住んでいる人か、そこまで引っ越しする覚悟のある人しか、そういう授業は受けられません。その地域にそういう人が一定以上いないとそういう授業は採算が取れませんから、現実的には開講できません。したがって、世界中で金太郎アメ的に同じような授業が展開されることになります。

同じように、日本で紙の本を出版するときは、高額な郵送費などを負担しない限り日本でしか流通しないので、日本で採算が取れない本は出版することができません。しかし、Kindleではそういった地域的な縛りがないのです。前回のブログで書いたように、amazon.co.jpで出版すると、amazon.comなどの流通にも載り、245の国や地域で売ることができるようになるのです。ということは、日本国内では採算が取れないから諦めるしかなかったようなニッチな教材でも、Kindle化すれば出版できるかもしれないということになります。前述したとおり、海外には日本国内の28倍もの日本語学習者がいるのですから。

というより、コンテンツさえあれば、それ以外の印刷や配送などのコストがかからないので、採算を取るという概念さえ必要ないのです。

つまり、僕がいつも言っている「オンラインレッスンは多様な教師と多様な学習者が直接結びつく社会を作る」ということが、「Kindleでの出版は多様な著者と多様な読者を直接結びつける」とも言い換えることができそうです。

最後になって思い出したのですが、もともとこうした「ニッチな市場でもネットを使えば採算がとれる」というのは、そういえば「ロングテール」という概念そのものですよね。そして、「ロングテール」の実例として筆頭にあげられるのが、いつもAmazonでした。そう考えると、AmazonのKindleでニッチな教材が売れるようになるというのも、当然すぎることなのかもしれませんね。

【参考】
日本語教師(Japanese teacher) (アンケートをしたグループの一つ)
https://www.facebook.com/groups/36641084250/

400万人に迫る! 世界で日本語を学んでいるのはどんな人? | をちこちMagazine
http://www.wochikochi.jp/topstory/2013/12/learning-japanese.php

文化庁 T 外国人に対する日本語教育の現状について 4 学習者数について
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/jittaichousa/h24/gaikoku_4.html

クリス・アンダーソン 「ロングテール‐「売れない商品」を宝の山に変える新戦略」 早川書房 2006

ロングテール - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%AB

そして冒険は続く。



posted by 村上吉文 at 02:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本語hacks! | このエントリーをはてなブックマークに追加
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