2014年07月20日

実現しつつある「多様な教師が多様な学習者と直接つながる社会」

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス



http://youtu.be/tO1LDzVZxk8?t=1h24m47s

冒険家の皆さん、今日もマングローブの林を膝まで水に浸かりながら横断していますか?

さて、冒頭の動画は昨年10月に日本語教育学会の研修の一番最後に僕が話しているところなんですが、あれからまだ一年もたっていないのに、ここで話した「遠隔教育によってもたらされる、多様な教師が多様な学習者と直接つながる社会」がすでにいろいろな点で実現しつつあるなあと思っています。

改めてそう思ったのは、昨日、この求人広告を見たときのことです。
漫画で教えるオンライン日本語教師3名求人:JEGS
http://www.jegsi.com/archives/52389537.html

この団体については僕はよく知らないので就職先としてオススメしていいかどうかも分からないのですが、ここで留意してほしいことは、「マンガで教える」という少しエッジの立った教え方と、それがオンラインであるという点です。

これまでの、教室で教える形の一般的な日本語学校では、まずその学校に通うことができるという地理的な制限があったために、ごく一般的な日本語を教えることしかできませんでした。すこし変わったニーズに応えようとすると、そうしたニーズを持っている人はその地域にはそれほど多くないので採算が取れないわけです。

しかし、オンラインなら話は違います。オンラインなら地域的な制限がないために、世界中に散在しているニーズを集めて、採算の取れるところまで持って行くことができるのです。上記の、「マンガで教えるオンライン日本語教師」という求人情報が実在していることが、それを証明しています。

実は、採算ベースに乗るかどうかは別として、この一年のあいだに、主にGoogle+のハングアウトを利用して、こうした独自色の高い日本語学習集団というのはいくつも始まっています。たとえば以下のコミュニティーでは「進撃の巨人」などを題材にして、英語を媒介語にして日本語で勉強しています。
【LEARN JAPANESE THROUGH MANGA
https://plus.google.com/communities/100379889147661298516

これとは別に、サウジアラビア在住の日本語教師がヨルダンやエジプトの日本語学習者と一緒に、アラビア語を媒介語にして、同じように日本のマンガを題材にして日本語を勉強するハングアウトを主催するコミュニティもあります。
https://plus.google.com/communities/104646511117574320314

こういう潮流については、僕は何年も前からこのブログに書いてきていて、たとえば4年半ほど前(2010年3月)には「日本語教育のロングテール」として、以下のように書きました。
さて、このロングテールですが、これは日本語教育の世界にも必ずあると私は思っています。たとえば銀行窓口の日本語。国内では外国人が銀行の窓口で働くようなことはまだ先でしょうが、海外では世界中に少しずつ散らばって、どの国でも見られるニーズなのではないでしょうか。たとえばハノイの「みずほ銀行」には日本人の顧客がたくさん来ています。韓国系の銀行には韓国人がたくさん来て窓口で韓国語で話していますし、同じように日系の銀行なら窓口係が日本語で対応しなければならないこともたくさんあるはずです。
そして、これらのニーズを結ぶのはインターネットです。スカイプなどを使って授業をすれば、教師と学習者がどれだけ離れていても授業をすることができます。それに成功すれば一人の専門家が飯を食うことぐらいはできるのではないでしょうか。
http://mongolia.seesaa.net/article/143480648.html


この時にはまだ夢の話だったし、昨年10月の日本語教育学会の研修の時もまだ日本語教育の世界では事例を上げることができなかったのですが、冒頭で紹介した求人を昨日、目にして、「やっと時代はここまで来たのだなあ」と感慨を覚えました。

マンガというと、今ではそれほどニッチなニーズでもないように思うかもしれませんが、この「多様な教師が多様な学習者と直接つながる社会」への潮流は、速くなることはあっても、止まるようなことは絶対にないでしょう。これから、もっともっとニッチなニーズに向けて細分化されていくと思います。

そういう社会で期待されるのは、「もっとも有名な教科書をいかに細部まで詳しく知っているか」という金太郎飴型の日本語教師ではなく、むしろその逆に、「いかに他の人と違う授業ができるか」という点ではないかと思います。

同じような授業しかしない先生が多い一方で、日本語学習のニーズは非常に多様です。インターネットを使えば、学習者側の多様なニーズに応じる形で、教師の側も多様な提案をすることが可能です。この記事をきっかけに少しでもこの業界の多様化が進んでくれること祈っています。

そして冒険は続く。
posted by 村上吉文 at 00:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
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