2014年05月31日

CBIの実施方法まとめ

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


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冒険家の皆さん、今日も海底の沈没船の中で残り少ない酸素を気にしながら宝箱を探していますか?

さて、内容重視の日本語学習(CBI)の場合、慣れていない学習者は何をすればいいか分からず、途方に暮れてしまうことがあります。そこで、今日はドラマや映画などで日本語を勉強する際の、よくあるタスクを簡単な順にご紹介したいと思います。

まず、日本語学習を始めた日は、吹き替えなしで原語で見るというのが出発点ですね。最初に見たときは「おはよう」「ありがとう」などの挨拶ぐらいしか分からないと思いますが、「ゼロではなかった!」ということが実感できればその後の自信になります。そして、日本語学習を始めようとしている人なら、挨拶程度は何となく知っているものですから、2時間の映画を見れば普通は1つか2つは理解できる言葉があるものです。

冒険家メソッドであれば、自動翻訳を使ってファンのコミュニティに「〜を初めて日本語で見ました。」と書き込むようなタスクもいいですね。もし学習者と同じ母語話者による日本語学習者コミュニティーがあれば、そこで体験を共有するのもいいでしょう。

もう少し勉強が進むと、たとえば学習時間が100時間に達する前でも、実はけっこう聞き取れるようになっているものです。というのも、好きなアニメやドラマを使う場合は、すでに自分の母語や英語などの吹き替えや字幕付き版で見ているからです。つまり、その場面で言われる内容はすでに知っていて、その音声に既習の語彙や文型を当てはめるだけですから、音声だけを頼りにして内容を想像するのよりはずっと簡単なのです。

この段階の活動で面白いと思ったのは、ツイッターで @flashnmusashi さんに教えてもらったんですが、プリンストン大の柴田智子先生の授業の例で、「学生がファンサブなどのアニメから30秒〜1分の好きなシーンを選んでURLを教師に報告→教師がスクリプトを作成→それを使ってシャドーイング練習」というものです。

冒険家メソッドとしては、SNSなどで自分の母語を学習している人に「30秒ぐらいなら文字起こししてあげるから、代わりに俺のこれも30秒だけ文字起こしして!」とお願いするのもいいですよね。文字起こしなんて語学教育の訓練を受けた人間じゃなくてもできるので。

コスプレが好きな人なら、この段階でもキャクターになりきって日本語で決め台詞を言うぐらいはできますし、短い映像に自分の声で吹き込みをしたりすることもできます。

初級後半ぐらいになってくると、30秒だけでなく、スクリプト全文を手に入れられれば、学習が急速に伸びていきます。聞き取れなくても文字化されていれば辞書で調べることもできますし。スクリプトは「フィルムコミック」などが便利ですが、DVDで字幕を見ることもできます。ただし、字幕はセリフが多少省略されていることもあります。また、マイナーな作品でも、決め台詞などはネットでいろいろな人が引用していますから、「(作品名)+セリフ」などで検索すると、けっこう簡単に見つけることができます。

以降はスクリプト(脚本、シナリオともいいますが)を入手できたという前提で書きますが、この時点でできることは、初級後半なら

・「聞くだけでは分からなかったが文字で見たら分かった」という部分をリストアップ
・辞書を見れば分かる部分を、辞書を見ながら理解
・辞書を見てもわからない部分をSNSなどで母語話者に質問
・自分の母語や英語に翻訳してSNSなどで共有し、間違っていればコメントしてもらう。

などです。この時点では語彙もどんどん増えていくので、

・ANKI
・quizlet

などのツールにどんどん学習した語彙を登録しておくといいでしょう。もちろん紙でもいいのですが、専用ツールを使うと、テストを出題してくれたりとか、登録した数が自動で分かるとか、さまざまなメリットがあります。

こうして、「理解する」という段階を過ぎると、次第にアウトプットすることができるようになってきます。アウトプットの簡単な方法は

・書き写す(単語ごとに書き写す段階から、文単位で覚えてから書き写す段階まで調整できます)
・音声を聞いてから一時停止して、文字を見て音読(再生速度を調整すると便利です)
・音声を聞きながらそれと同時に文字を見て音読
・音声を聞かないで文字だけで音読
・文字を見ないでシャドーイング(音声を流したままにして聞きながら繰り返す)
(2018年1月追記:「セリフを音読して音声入力してみる」というのも効果的な練習になりそうです。)

などです。「簡単な方法」としたのは、この段階では自分では何も創造する必要がないからです。
これが、初級後半から中級ぐらいになってくると、もっと創造的な練習もできるようになってきます。たとえば

・要約する
・感想を書いてSNSなどに投稿
・そのコンテンツに批判的な投稿を見つけて反論

などです。また、最近気づいたことなのですが、自分と同じ母語話者で、同じ作品のファンのために、自分の母語でその作品の日本語について説明するのもなかなかいい訓練になるようです。また、上記の要約や感想や反論の投稿なども、文字で行うこともできますし、YouTubeなどの動画共有コミュニティやFacebookの動画投稿機能などを使って、音声で投稿することもできます。文字で行う場合は、Lang-8という作文相互添削サイトを利用するといいでしょう。ただし、添削されっぱなしでは上手にならないので、添削結果を皆がもう一度文章を作成し、、それをSNSなどに載せるという方法が可能なら、なお望ましいでしょう。

このように、映画やドラマなどの映像作品を使ったCBIといっても、多彩な方法があります。学習者にとっては自分に合った方法を選ぶことができますし、もし教育機関でCBIを取り入れる場合は、一つの作品を中心に、さまざまなレベルの学習者が同じクラスの中で自律的に学習するようなこともできます。もともと剣道や空手の道場やボクシングのジムなどではさまざまなレベルの人が一緒に練習したりもしているので、語学教育以外の世界では、こうしたことはそれほど珍しいことでもないのです。

いかがでしょうか。まだCBIに経験のない人も、これからちょっと挑戦してみませんか?

そして冒険は続く。
posted by 村上吉文 at 19:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本語hacks! | このエントリーをはてなブックマークに追加
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