2014年04月21日

冒険家が世界を制覇する



冒険家の皆さん、今日も砂漠の地平線に沈みゆく夕日を砂丘のてっぺんから眺めていますか?

さて、最近、各地のスピーチコンテストをすごい勢いで冒険家たちが制覇しつつあるので、直近の例を3つほどご紹介したいと思います。
まずは先日(2014年3月22日)、ハンガリーで開催された日本語スピーチコンテストです。
優勝者のホッロー・ヴィクトリアさんは日本語専攻ではなく、教室で勉強したことはほとんどないそうです。プロフィールを見てみると、307人のFacebook友だちのうち、日本名の人が33人もいます。日本に住んでいないのに友人の一割以上が日本人で、典型的な冒険家ですよね。冒頭のビデオ自体、主催者の公式ビデオではなく、ヴィクトリアさんがyoutubeの自分のチャンネルで公開しているものだったりしますので、ソーシャル・メディアを普通に使っているのが分かります。

そして、そのすぐ次の週だったかと思いますが、「にほんごハングアウト!」の常連のマリアムさんが、エジプトのスピーチコンテストの上級の部で優勝したというニュースを聞きました。スピーチの動画はまだ見つけていないんですが、優勝したことについてみんなで話しているところをご紹介します。もし以下の動画で最初から再生されてしまったら、24分30秒辺りからご覧ください。



マリアムさんは初級の前半(『みんなの日本語T』)までは教室で勉強したとのことですが、残念なことに在住地のアレキサンドリアではそれ以上のレベルを勉強する教室がなく、その後はこうしたオンラインでのおしゃべりなどを含む自律的な学習で日本語力を伸ばしたそうです。

彼女はFacebookで友だちが660人もいるので日本人の友だちがどのぐらいいるのか分かりませんが、最初に表示される友だちの20人のうち、14人が日本人か、もしくは日本式の名前の人でした。留学経験などもないのに、これだけの日本人とソーシャル・メディアでつながっているということから、彼女も典型的な冒険家と言っていいと思います。

最後の例として、2週間ほど前、4月12日に行われたチェコの日本語弁論大会の優勝者をご紹介します。優勝者のクリスティナ・ラドヴァさんは最初から独学で日本語を学んだそうで、Facebook上の友だちの中にも日本人が沢山います。さきほど数えた時は、最初に表示される彼女の友だちの10人中3人が日本人の名前でした。ただし、彼女の場合はチェコの日系企業に勤めているそうですし、友だちの日本人もその多くがチェコ在住のようなので、ネットを強力に利用しているわけでもないかもしれません。しかし、SNAは別にネットに限ったつながりを利用するものではありませんし、『外国語学習のめやす』にもオンライン以外のつながりを利用する例がたくさん出てきます。そういう意味では、「SNA×自律学習」である冒険家メソッドの実践者と言って間違いありません。

クリスティナさんもスピーチの動画は見つからないのですが、落語を日本語で披露している動画が見つかりましたので、ご紹介します。


今回の弁論大会では、こうした体験を踏まえて、日本とチェコの笑いのツボがぜんぜん違うことなどを楽しく話してくれました。

昨年からの僕の一連の発言を見て「冒険家メソッドなんて役に立つのか?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、そういう疑問に対してはこうした実例が何よりも雄弁な答えとなってくれるのではないでしょうか。

また、従来の一斉授業に比べても、少なくともトップレベルの日本語話者を輩出するには、冒険家メソッドのほうが有効であると考えることもできそうです。それぞれの大会でも、出場者の多くは一斉授業の学習者なのですから、それらを抑えて冒険家たちが優勝しているということは、よく言われる「うきこぼれ」(落ちこぼれの反対で、能力の高い人が自分に合ったレベルの授業を受けられない問題)が原因で、弁論大会で優勝を争うようなトップレベルの戦いには一斉授業は向いていない可能性を強く暗示しています。

あまり能力の高くない学習者にとっては、自分で自分の学習活動をデザインすることは負担が重すぎることもあるでしょう。その場合は一斉授業以外に選択肢はないのかもしれません。しかし、そういう場合を除けば、これだけ多様化した社会において、教室の全員が同じ教材で同じ進度で学習を続けるという形態には、やはりかなり無理があるのではないでしょうか。

そして冒険は続く。
posted by 村上吉文 at 02:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本語hacks! | このエントリーをはてなブックマークに追加
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