2013年09月23日

日本語スピーチコンテストの動画ライブ配信について

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


USTREAM STUDIO SHIBUYA_046

冒険家のみなさん、お元気ですか。

今日は、はじめてスピーチコンテストを配信することを検討している人から照会を受けたので、備忘録として書き留めておきます。

まず、なぜインターネットで発信するのか。これは、誰のために発信するのか、という問いと同じだと思っていいかもしれません。

一番大切なのは、発表者自身のためになるという点です。というのも、自分の良かったところ、悪かったところが、自分では客観的にわかりません。しかし、ネットで自分のスピーチが発信されれば、いろいろな人がコメントしてくれます。ごくたまに意地悪な人もいますが、普通はそのスピーチの良かったところなどがコメントされます。ネットに発信されなければ、発表者へのフィードバックは審査員による審査結果だけで、多くの場合、入賞しなかった人に対しては個別のフィードバックさえない場合が少なくありません。これは大きな違いです。

次に、日本人の視聴者にとっても大きなメリットがあります。たとえばクウェイトの若者が日本語でしゃべっているところなど、普通の日本人は見たことがありませんよね。顔も隠した敬虔なイスラム教徒の女性が実はワンピースのファンで、「この海で一番自由な奴が海賊王だ!」とか言っているのを見ると、その国に対する自分の認識がいかに視野の狭いものだったかに気づくはずです。当たり前ですが、どの国も多様な人達がいて、多様な考えを持っています。もちろん、日本の武道やアニメのファンだっていろいろな国にいるわけで、日本語スピーチコンテストではそういう人たちの姿をリアルタイムで見ることができるわけです。

そして、その国に対する日本人の認識が深まることは、いうまでもなく、開催国にとってメリットがあります。誤解に基づく無駄な摩擦がなくなりますし、その国の生産物の売上が増えたり、あるいは日本からの観光客が増えたりもするでしょう。

■ 配信に関わる人たち
次に、配信にはどういう人が必要かについても書いておきます。

まず必要なのは、会場で機材をセッティングする人です。インターネットに繋がなければならないので、インターネットと、配信機材に詳しくなければなりません。と言っても、このぐらいのレベルは普通のクラスだったら一人ぐらいはいるのではないでしょうか。特に工学部の学生とかでなくても、多少インターネットに詳しい人なら誰でもできます。これは日本語ができなくても構いません。

配信が始まったら、会場で視聴者からのコメントをモニターする人が必要です。というのも、マイクの位置などによっては、発表者の声がよく聞こえなかったり、あるいはパソコンの冷却ファンのノイズがマイクに伝わってしまったりとか、あるいは配信しているパソコンのキーボードでタイプする音がうるさいとか、いろいろなフィードバックが視聴者からあり、現場で対応する必要があるからです。これは日本語スピーチコンテストの配信である以上、日本語によるコメントも多いですから、日本語の分かる人を確保した方がいいです。

それとは別に、会場ではなく世界のどこでもいいのですが、会場で配られるプログラムを持っていて、発表者の名前とかタイトルも文字で確認できる人がいて、「次は○○さん、タイトルは▲▲です」などと案内してもらえると視聴者は助かります。というのも、プリントされたプログラムと同じ内容がネットで公開されているとしても、オンラインの視聴者はそれがどこで見られるのか気づかない場合もありますし、友だちのツイートなどからふらっと立ち寄る人などもいるからです。また、会場で発表者を紹介する司会者の音声が聞こえたとしても、固有名詞の場合はその国とあまり縁のない視聴者には聞き取れなかったり覚えられないことが少なくないのです。

■ 機材
機材については、実はそれほど大変ではありません。たとえば海外日本語教育学会では僕の使っているChromebookの内蔵のマイクとカメラだけで、内部の打ち合わせをGoogleハングアウトで中継し、遠隔地にいる世話人が会議に参加しています。でも、機材によっては内蔵のカメラとマイクはおもちゃレベルのもありますので、もし内蔵のものを使うなら、事前に確認が必要です。

もし、USBのウェブカメラなどを使うのでしたら、30ドル程度のものならどれでも大丈夫ではないかと思いますが、意外と便利なのがコードの長いときです。配信用のパソコンを置ける場所が発表者から遠い場合などは、コードが短いと発表者がとても小さく映ることになってしまいます。もしカメラを発表者の近くに置くことができれば、音声もスピーカーを通した声でなく、発表者の口から出たものが直接マイクで拾えるので、視聴者にはよりクリアに聞こえます。現場にいるとそれほど気になりませんが、視聴者は現場の人よりもさらに一度多くマイクを通した音声を聞くことになるので、もし可能なら発表者の声を直接拾えるようにするといいでしょう。

LANケーブルなどは会場で調達できることがほとんどですが、3Gでネットにアクセする場合は、モバイルルーターなどが必要になります。最近はパソコンを使わずにスマホだけでイベントを配信をする例もあります。

■ 広報
オンラインで配信する際、誰も見ていなくても、記録としての意味はあるでしょう。ただ、誰も見ていないと発表者にとっては寂しいのではないでしょうか。その意味ではきちんと広報して、リアルタイムの視聴者を増やす必要があります。
リアルタイムの視聴者を増やすには、やはりソーシャル・メディアが効果的です。特に便利なのはGoogle+やフェイスブックのイベントページです。これはスピコンを見て欲しい人を「招待」することにより、多くに人にお知らせを送ることができます。また、積極的に「シェアしてください」と呼びかければ、招待した人だけでなく、その人たちの友達や、更にその友達まで見てもらうことができるかもしれません。

■ 動画配信サービス
配信のプラットフォームは、主なものとしてはUSTREAMとGoogleハングアウトの2つがあります。(日本ではniconicoもありますね)
USTREAMのいいところは「ソーシャルストリーム」と言って、ツイッターやフェイスブックでコメントをすることができる点です。多くの人にコメントして欲しいのでしたら、USTREAMが望ましいのではないでしょうか。

一方のGoogleハングアウトは、すでにGoogleのユーザーだったら新たにアカウントを作ったりする手間がかからないというメリットがあります。また、Google+というSNSと密接に関係しているので、上記のようにGoogle+内でイベントページを作って、そこから皆さんにメールで招待することなども簡単ですね。録画は自動的にYouTubeに記録されるので、USTREAMよりYouTubeの方が人気のある地域などでは親しみやすいでしょう。

USTREAMによる配信については、以前、公開用のマニュアルを作ったことがあるので、そちらをご覧ください。
https://docs.google.com/document/d/16fNDhgbYq6RoKRGMtfUAjxUPYKjzUDIwRKGo60RrGz4/pub
(もう一年半以上前の情報なので、すこし現状と違う部分があるかもしれません。)

Googleハングアウトの配信については、こちらをご覧ください。
http://mongolia.seesaa.net/article/369679391.html

2015年5月23日追記
現在、USTREAMは無料アカウントでは30日しか動画を保存できないので、長く見てもらいたい人はGoogle+ハングアウトがおすすめです。

posted by 村上吉文 at 09:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本語hacks! | このエントリーをはてなブックマークに追加
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