2013年08月16日

そもそもソーシャル・メディアって何?

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


How to optimize your blog post

今日は、そもそもソーシャル・メディアって何? という疑問をお持ちの、僕と同世代か、もっと上の世代の人のために、書いてみますね。

ソーシャル・メディアというのは要するにオンラインで個人が発信するメディアです。だから、「マス・メディアじゃないメディア」と言っていいかもしれません。代表的なものはFacebookで、これはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)という、ソーシャル・メディアの中でもさらにサブカテゴリーに属するものです。SNSは他に、日本ではMixi(ミクシー)とかグリーなどがあります。

動画共有サイトのYouTubeや写真共有サイトのflickrも明らかにソーシャル・メディアですが、SNSと呼ぶ人もいます。会員同士で評価しあったりすることもできますので。

ツイッターもSNSかどうかは人によって意見が違いますが、ソーシャル・メディアであることに異論のある人はいないでしょう。

明らかにSNSではないソーシャル・メディアとしては、例えばブログがあります。ブログはそれぞれが独立したメディアであり、社交のためにも使えますが、むしろ出版や講演会などに近いイメージです。実際に、ブログとFacebookで同じ内容を書いてもコメントが来るのはFacebookだけということもよくあります。

その他、「2ちゃんねる」で有名な掲示板とか、「はてなブックマーク」で有名なソーシャルブックマークとか、ヨルダンの中山さんががんばっているポッドキャストなんかもソーシャル・メディアですよね。

ここでは、外国語学習の視点からソーシャル・メディアを簡単にご紹介します。


■ 会員数が自慢のFacebook
まず、Facebookですが、ここは会員数が最も多いのが特徴です。
ただ、ここはFacebook外ですでに知り合っている人とオンラインで交流することを目的としているので、Facebook上で友達を作るのには向いていません。検索機能が非常に貧弱で、特定のキーワード(たとえば「Japanese language」とか)を使っているユーザーを探し出すことができません。自分の発言すら検索できないので、過去に書いたことを確認することもできないのです。また、友だちリクエストを相手が承認しないと相手の投稿を読めない場合が多いので、自分の学習言語の母語話者とつながるのにも向いていません。最近、Google+やツイッターに押される形で、友だちでない人を「フォロー」するという機能ができ、相手が一般公開モードで共有している投稿は、友だちでなくても読めるようにはなりましたが、一般公開モードで書いている人はまだまだ少ないのが現状です。

語学学習ツールとしては、文字でのやりとりが主体ですが、スカイプと連携しているので、相手もスカイプを持っていれば一対一ならテレビ電話で会話の練習もできないことはありません。いろいろ外国語学習に向いていない特徴が多いのですが、すでに友だちとなっている外国人とつながるには効果的です。

■ 顔を合わせて話せるGoogle+。母語話者とも知り合えるぞ!
次にGoogle+です。日本ではツイッターのほうが有名かもしれませんが、世界的にはアクティブ・ユーザー数はツイッターより多く、世界第2位のSNSとなっています。(http://goo.gl/0WeJX

Google+の「売り」は何と言ってもハングアウトで、無料の個人会員でも最大10名までのテレビ会議を開くことができます。遠く離れていても顔を合わせて、みんなで話し合うことができるわけですね。ですからソーシャル・メディアで会話を学ぶのであれば、Google+はまず外せない選択肢です。
また、検索会社が運営しているだけあって、特定の言語のユーザーや、特定の趣味を持っているユーザーを探しだしたりするのも簡単です。要するに新しく友だちを作るのにも、会話の練習をするのにも、FacebookよりもGoogle+の方がずっと優れています。

Google+の特徴の一つは「サークル」で、友だちとして登録するときは、必ず「どんな関係なのか」を表すサークルに入れることになります。たとえば「家族」「知り合い」「同僚」など。そして、投稿を共有するときも、必ずどのサークルに共有するのかを設定しなければならないので、たとえば学習者と一緒に写っている写真は学習者だけに共有して、学習者に対する愚痴は同僚教員とだけ共有するようなこともできます。Facebookにも「リスト」と言って同じような機能はあるのですが、あくまでもオプションでしかないので、多くの人は使っていないようです。その意味で、プライベートと仕事を完全に切り離したい人などにも、FacebookよりはGoogle+の方が使いやすいことでしょう。Facebookと違って、友達リクエストを承認してもらう必要もありません。勝手に相手をサークルに入れてしまえば、それでおしまいです。

■ 敷居の低い、ゆるいつながりのツイッター
次にツイッターですが、ご存じの通り140文字しか書けないのが最大の特徴です。長く書く必要がないので、初級者にも使いやすいですね。「おなかすいた」とか「空が青いな」といった独り言のようなものをポツリと書き込む人もいるので、書き込みに対する敷居がとても低いといえます。が、音声に関する機能はないので、読み書きの練習しかできません。

Facebookの「リスト」やGoogle+の「サークル」のような機能もないので、投稿するときに友だちの関係を考えたりする必要がありません。すべてを世界に公開するか、すべてを友だちのみに共有するかの2つしか共有モードがないのです。また、Facebookにおける「グループ」とかGoogle+における「コミュニティ」といった概念もないのですが、そのかわりに「ハッシュタグ」というものを使ってオンライン・コミュニティのようなものを作ることはできます。友達関係を相手に承認してもらう必要がないところはGoogle+と同じですね。また、「今日はあれとこれを勉強した」というようなタイムログとして学習記録をつけておきたいならツイッターが向いています。

■ 文学少女ならブログ!
以上の3つと違って、ブログは特定の会社が運営しているわけではなく、日本では「はてな」や「アメーバ」などが有名です。世界的にはGoogleの運営するBloggerが一番有名かもしれません。自分のサイトを持っている人は、ウェブサーバーにインストールする形になりますが、WordpressとかMovableTypeなどがあります。
当初、普通のウェブページしかなかった頃には、ブログは時系列で動的に文章などが記録できることが最大の特徴だったのですが、今ではむしろ、ソーシャル・メディアとしては出版物のように静的に記録できることが最大の特徴になっています。というのも、ツイッターが典型的ですが、ソーシャル・メディアではリアルタイム性が非常に重要なので、時間が経つと投稿が流れていってしまって、自分の投稿すら見つけられなくなってしまうのです。しかし、ブログは時系列に自分の書いた記録が蓄積されていき、あとからブログ内を検索するのも簡単です。

また、ソーシャル・メディアの中でもSNSは「みんなの場所」ですが、ブログは基本的に「自分の城」です。ですから、基本的に空気を読んだりする必要がありません。

そういった特徴があるので、外国語学習の面では文学少女のような長文を書くのが好きな人には非常に向いていると言えます。

また、基本的には公開制で、FacebookやGoogleのアカウントが必要ないので、クラス全員に共有しなければならない情報を載せるための拠点として使う例もあります。もっとも最近は若い人はほとんど全員がFacebookを使っていますが、それでも親の世代は使っていない人もいるので、クラスの情報を保護者と共有するためにブログを活用している例もあります。

ただ、SNSと違って、ブログはわざわざ読者が読みに来ないと相手の目に入りません。SNSの場合は、たとえばFacebookならFacebookにログインすれば同時に、いろいろな人の情報が向こうからやってきますが、ブログはそれぞれが1つずつの「自分の城」なので、こちらから出かけて行ってみないと読むことができません。もちろん、ブログの管理人がFacebookなどに「ブログ更新しました」と投稿すれば、友だちに知らせることはできます。

■ 百聞はYouTubeにしかず
文章を中心とするブログの対極にあるのが、YouTubeと言っていいかもしれません。ブログはその言語がわからないとほとんど意味がありませんが、YouTubeは動画なので言語外の情報が多く、世界中のいろいろな人たちの暮らしを見ることができます。

語学学習のツールとしても非常に優れていて、まず教材がたくさん共有されています。ニューヨーク日本人会のようなプロフェッショナルなチャンネル(http://goo.gl/erhIBf)もあれば、学習者が自分の学習の過程を記録するために使っていることもあります。(たとえば「MarcLearningJapanese」チャンネル http://goo.gl/NLjyFX など) 僕も初めてハンガリー語を話してみた時の動画をアップロードしていますが、それをFacebookなどで共有して反応があると、非常に嬉しいものです。

なお、YouTubeはGoogleが運営していて、Google+のハングアウトを通話でなく放送として利用すると、自動的にYouTubeに動画が保存されるようになっています。

昨年から大人気の反転授業では、教えるべき内容を事前に教師が動画で録画しておきますが、そのために使われているのもほとんどがYouTubeではないかと思います。

■ 目的別ソーシャル・メディアの選び方 クラス運営ならFB

もしクラス運営で使うのだったら、やはりユーザーの多いFacebookになるのではないかと思います。もともと若い人はほとんどFacebookに入っていますので。もしFacebookに入っていない人がいるのなら、一般公開されているブログを使えば、だれでもアクセスできますし、Facebookでも公開モードで書けば普通のブログのように使うことができます。ただし、その場合、コメントできるのはFacebookユーザーだけということになります。

Facebookをクラス運営に使うもっとも大きなメリットは、遊びのためにFacebookにログインした学生の目に、クラスからの連絡が目に入るという点です。したがって、外部のブログなどを選ぶときには、公平性は担保されるものの、学生からのアクセスは相当に少なくなることを覚悟したほうがいいでしょう。

■ オンライン授業ならGoogle+
クラス運営はFacebookと書きましたが、しかしFacebookは文字でのやりとりが主体なので、リアルタイムの授業そのものの代わりにはなりません。もし従来の一斉型の授業をオンラインでするなら、やはりハングアウトが使えるGoogle+の他に選択肢はありえません。もちろんモニター越しになるので普段よりは制限はありますが、それでも「教室」とか「教師」とか「板書」の概念はそのままに、従来の授業に近いものができます。学習者の発話も、マイクさえあればちゃんと教師がチェックすることができます。ペアワークなども、いったんクラスのハングアウトから退出して、学習者同士でハングアウトをすれば、教室でペアワークをするのと全く同じように練習することができます。しかも、録画させておけば後から教師が一組ずつチェックできるので、教室でのペアワークよりもはるかに目の行き届いた練習になります。

なお、「板書」というのはカメラの代わりに自分のパソコンの画面を表示する機能があるからで、ワードにどんどん文字を書いていくこともできれば、事前に作っておいたパワーポイントなどの資料を見せることもできます。また、オンライン授業の様子を録画しておいて、後から欠席者用や復習用に見てもらうこともできます。

ただし、ハングアウトは有料プランでも15名までしか入れないので、クラスが大きい場合は工夫が必要です。たとえば、中東日本語教師オンライン研修では、動画を放送モードにして、質問などを文字チャットで受けるなどの方法を採用しています。もちろん、この場合は口頭能力の育成にはあまり向いていません。

■ 母語話者を見つけるなら、Google+かLang-8
とにかく母語話者を見つけたいという場合も、Google+がお勧めです。人数自体はFacebookのほうが確かに多いのですが、Facebookはそもそも他人と知り合う場所として設計されていないために、キーワード検索などが非常に不便なのです。すでに知っている人をメールアドレスなどから検索するには十分なのですが。

さて、検索キーワードはいつも書いていることですが、自分に関係した言葉を学習言語に翻訳して検索するのが効果的です。たとえばハンガリー語を勉強している日本語教師の場合は、「Japan Nyelv」です。これは「日本語」という意味のハンガリー語で、これで検索すると日本語について書いているハンガリー人ユーザーか、あるいはそういうユーザーが集まっているコミュニティを発見することができます。

母語話者を見つける際には、まずその母語話者が集まりそうなコミュニティを探す方法と、ユーザーを直接探す方法があります。ユーザーが公開している投稿が検索結果に出てきた時はすぐにその人をお友だち候補にすればいのですが、そういうユーザーが見つからない場合は、コミュニティから探すといい結果が見つかることがあります。特に、コミュニティでは発言の頻度などからそのユーザーがどのぐらいアクティブなのかが分かるので、どの人なら返事がもらいやすいかなどを考える目安になります。

また、後で詳しく書きますが、Lang-8を入り口にするという方法もあります。Lang-8はそのユーザーが何語を学んでいるか、そして、そのユーザーの母語は何かで検索することができるのです。日本語を母語としてハンガリー語を学んでいる僕にとっては、逆にハンガリー語を母語として日本語を学んでいる人と知り合えればお互いにメリットがありますよね。これは添削しあうのが目的のSNSですが、ここを入り口にしてGoogle+でもつながることができれば、会話の練習にもなりますね。

■ 技能別に考えると・・・

さて、話が技能別になってきたのでもう少し書いてみると、まず、書く力を伸ばしたいのなら、これはもう間違いなく、上に書いたLang-8がベストです。相互添削型のSNSで、たとえば日本語を学んでいるハンガリー人だけを検索してお友達申請してから何かハンガリー語で書くと、そのユーザーが僕のハンガリー語を添削してくれるのです。

Lang-8で簡単に添削してもらうコツは、ツイッターなみに(というと言いすぎかもしれませんが)、短く書くことです。こういうのはギブ&テイクですから僕もよく添削するんですが、長いともう添削する気がなくなっちゃうんですよねー。実際に、簡単な内容で短く書く方が、ずっと相手の負担も少ないし、添削の他にちょっとしたコメントなどももらうことができます。

僕はFacebookにアラビア語で書き込んでいたことがあるのですが、このLang-8で添削してもらってから書き込んでいたら、「あの人はすごい。教室ではわざとアラビア語は使えないふりをしているみたいだけど、実はネイティブ並みに使えるらしい」という噂を立てられていたことがあります。(騙していたわけじゃないんだけど、隠していてごめんなさい(^^)。実は本当にあまり使えないんです)

■ 読解力なら140文字から!
読む力に関しては、初級のうちなら間違いなくツイッターです。理由はもちろん、短いからです。短いというのは単に読む量が少ないというだけではなくて、文脈に依存した表現が少ないというメリットもあります。たとえば、先ほど挙げた「おなかすいた」とか「空が青いな」というつぶやきには、それを理解するのに必要な文脈というものがほとんどありません。

中級以上になると、ハッシュタグを使って、ドラマの放送時間にそのドラマのハッシュタグを追っていくと、とてもいい速読の練習になるのではないかと思います。僕も『あまちゃん』の放送時間に「#あまちゃん」のハッシュタグを見ることがありますが、「ユイちゃん登場!」のような単なる場面描写もあれば、共感したくなる感想などもあり、まるで自宅の部屋でなく、何百人も一緒に見ているような感覚になります。世界記録を作った「バルス!」も、もはや国民的行事(http://goo.gl/6vG82s)ですよね。

もちろん、中級以上では、もっと他のメディアでも読む練習はできますが、Facebookならリスト、Google+ならサークルをその言語の話者だけで作っておいて、その言語の学習と関係のない友だちの書き込みが目に入らないようにする必要はあります。

■ 聴解力なら動画で!
聴解力をつけるのなら、やっぱりYouTubeがいちばんです。教材自体も非常にたくさんアップロードされていますが、歌やニュースなどのプロの手によるコンテンツも最近では合法的にどんどん共有されています。また、日本語では少ないのですが、海外のユーザーはカメラに向かって自分の意見などを語っていることがよくあり、こうしたコンテンツも中級以上の学習者にとっては非常に役に立ちます。繰り返しますが、教科書付属のCDなどではなく、ナマの人間が相手のソーシャル・メディアなので、自分の感想などを直接相手にコメントすることができるのです。最初からコメントするつもりで聞くのと、反応など期待されていないCDを聞くのでは、天と地ほどの違いがあります。

YouTubeでは、アカウントを作らなくても充分に楽しむことができますが、アカウントを作っておくと、好きなチャンネルを登録することができるようになり、登録する際に「新しい動画がアップロードされたらメールでお知らせを受け取る」という設定にしておくと、わざわざ「まだ次の動画、出ないかなー」と見に行かなくてもいいので、効果的に聴解力を鍛えることができます。

■ 会話はYouTubeか、もちろんハングアウト!
会話力も、一方的に話すだけなら、YouTubeで鍛えることができます。というのもYouTubeには文字でコメントするだけでなく、動画でコメントするというオプションもあるからです。もちろん動画の中では一方的に投稿者が話すだけなので、そういう意味では双方向ではありませんが、動画に対して動画でコメントするという意味では双方向的なコミュニケーションということもできます。

しかし、リアルタイムの双方向的な口頭コミュニケーションといえば、やはりGoogle+のハングアウトが一番でしょう。今のところ、無料で複数の相手の顔を見ながら、話すことができるのはGoogle+だけのサービスです。録画として残すこともできますので、あとから振り返りとして見直すこともできますよ。

■ 最後に
さて、長くなってしまいました。これらはみな公開されているツールですから知っている人にとってはアタリマエのことばかりですし、ソーシャル・メディアの定義なども人によって微妙に違いますが、それぞれの長所や短所などをご理解の上で使っていただければ、ご紹介した僕としてもとても嬉しいです。
posted by 村上吉文 at 19:17 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日本語hacks! | このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
丁寧にまとめてくださってありがとうございます。

SNS乱立でそれぞれの使い勝手は初心者にはわからないので、大変役に立つエントリーでした。

一つずつ試します(*^_^*)
Posted by baku at 2013年08月23日 14:18
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