2013年07月26日

さあ、絶交しましょう! ブロックのすすめ

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


Transparent Man

僕はセミナーなどでよく「ブロックをためらうな」ということを話すんですが、そのたびに驚かれます。
なぜなんでしょうか。
たぶん、「できるだけたくさんの人と交流するべき」という前提があるのかもしれません。

でも、この「豊かさの時代」に、そういう「量」の問題は実はあまり重要ではないように思います。
僕がよく引用するWill Richardson は、Learning in a Networked World という講演(http://www.youtube.com/watch?v=rKnRbhtyjcQ)において、教材などで情報を調達することが中心だった「欠乏の時代」と、ネットなどに情報があふれている現代の「豊かさの時代」では社会における教育の役割が全く変わってしまっていることを指摘していますが、人脈についても全く同じ事が言えると思います。

もちろん、確かに教育においても「量」が必要なことはよくあります。でも、語学に関して「量」が重要だとすれば、まず人脈の量ではなくて、「時間」の量だと思います。

つまり、どれだけ多くの人を知っているかではなく、どれだけ長く勉強できるかどうか。それは、こうしたソーシャル・メディアを使った学習方法(SNA)においては、どれだけ長くオンラインでいられるか、ということでもあります。

そして、そのためには痴漢やら犯罪者のような人間は注意深く排除する必要があります。ネット時代には素晴らしい才能を見つけるのも簡単になった一方、そういう反社会的な人間に遭遇する可能性も増えていますから。また、そこまで行かなくても、通りすがりによく読みもしないで表面的な批判だけをしていく人たちもいないわけではありません。

僕は最初のうち、そういう人たちも他の人と同じようにきちんと向きあおうとしてきました。でも、気軽に批判だけする人というのは、基本的に「誰かを攻撃したい」という衝動を抱えていて、建設的な批判などとは関係がないのだということが、だんだん分かってきました。匿名掲示板などでは「ブサイクだな」「俺の好みじゃない」というような議論と関係のない主観的な批判だけしてくるような人も見かけます。それで、最終的にはそういう人たちは「スルー」するのが正しいのだという結論に至りました。

「スルー」というのは多分英語の Through が語源で、「しっかり受け止めないで、適当に受け流す」とか、もっと端的に言えば「無視する」というような意味のネットスラングです。能力の一つとして「スルー力」というのも基本的なネットリテラシーの一つとされています。そして、くどいですが、この「スルー力」はソーシャルメディアを通して語学の学習をするには、非常に重要なスキルです。

ただ、安易で表面的な批判を無視するのは楽ではありません。つい、カッとなって反応してしまうのはまだマシな方で、外国語で書いている場合は自分の語学力に絶望してしまったり、上手に反論できずに一人で傷ついてしまったりします。そして、そういう経験を何度もすると、学習言語での発信をやめてしまうのです。それは、SNA(Social Networking Aproach)においては「学習をやめる」のとほぼ同じことになってしまいます。

こういう事態を防ぐためには、ぜひFacebookやツイッターに最初から実装されている「ブロック」という機能を積極的に使うように学生さんにご指導してください。

Facebookの場合、ブロックした相手が何を書いても自分の目には入ってきません。存在しないことと同じです。ブロックした相手にとっても同じで、自分の書いた記事などを相手が開くと「リンクに問題があるか、ページが削除された可能性があります」というメッセージが表示され、内容を見ることができなくなります。

「そんなことをしたら相手が却って怒り狂うのではないか」と心配する人もいるかもしれませんが、大丈夫です。基本的にネットで絡んでくる人というのは、相手が反応するから面白いのであって、反応がないと他のカッとしやすい人に絡んでいくだけです。少なくとも僕は人をブロックして却ってこじれたことは一度もありません。

また、もうひとつの心配は「建設的な批判まで耳に入らなくなってしまうのではないか」ということですが、これはブロックする基準によって対応することができます。それは、相手がまともな人間だと分かっているかどうかです。実際に対面したことがなくても、ネット上の付き合いがあって、その人がまともだと分かっていれば、そういう人からの批判は、少なくとも一度は真摯に受け止めるべきでしょう。また、初めての対話でも、実名を出している人ならそれなりに社会的な責任をもって発言していると考えることもできます。

でも、そういう付き合いの実績がない人や、名前を隠してネットでだけ勇ましいことを言うような種類の人たちが、いきなり主観的で非建設的なことを書いてきたら、それは一発でブロックしてしまうべきです。「もう少し話を聞いてみよう」などと対応するのは時間の無駄です。文字通り、時間の無駄以外の何物でもありません。しかも、大量の無駄です。非常に生産性の低い時間だけが過ぎていって、得るものはほとんどありません。実際に僕も通りすがりの安易な批判者は一発でブロックしていますが、あとから困ったことになった経験は一度もありません。

また、こういう変わった人をブロックするのは、自分だけのためではなく、相手のためにもなるのだということを忘れてはなりません。メンタルな部分で問題を抱えてしまっている人は、自分がやっていることが社会的に受け入れられないと分かった上で、それでも止められないことがあるのです。参考文献に例を載せておきました。

こうやって、友達を選ぶことには何らかのデメリットはあるかもしれません。それは否定しません。しかし、繰り返しますが、友達を選ばないことには、学習機会を失うという、もっともっと大きなデメリットがあるのです。あるかどうかさえ分からないリスクを心配するあまり、成長できなくなるという21世紀で最大といっていいリスクを抱えてしまうのは理性的な判断ではありません。

オフラインの世界では、たとえば学校にいじめっ子がいたら不登校になってしまうことがよくあります。人をブロックしないでネットから離れてしまうのは、まさにそのような事態です。オフラインの学校ではこうしたことを避けるのはなかなか大変ですが、オンラインの付き合いでは事態をコントロールするのは簡単です。単にブロックしてしまえばいいのですから。いじめっ子のいる学校に登校して勉強を続けつつ、相手からは透明人間と同じように見えなくなってしまうのです。また、こちらからも、いじめっ子だけが透明人間になってしまって、その他の友だちとはそのままの付き合いが続けられます。

このソーシャル・メディアの時代、人と出会う機会というのは豊富に存在します。農耕社会の一生同じムラで過ごす時代ではないのです。オンラインに居続けることができれば、学習者のニーズにピッタリ合う人も必ず見つかります。たとえば日本語を勉強しているハンガリー人とハンガリー語を学んでいる日本人が出会って、お互いの趣味も似ているとか、そういうことは運命でも偶然でなく必然的に起こすことができるのです。

ソーシャル・メディアの力を利用して語学を学ぼうとしている人は、ぜひブロックすることをためらわずに、成長という長い道を歩き続けてください。

【参考文献】

ブロックとは何ですか。ユーザーをブロックするとどうなりますか。 | Facebookヘルプセンター
https://www.facebook.com/help/www/131930530214371

Facebook疲れを起こさないために、先制ブロックのススメ | 脳味噌はなまる
http://idejun.com/archives/3146

友達やFacebookユーザーをブロックする │ Facebook Guide
http://www.facebook-japan.com/use/08/block.html

僕はストーカーになってしまったようです。 こんにちは。 僕は自分の気づかぬ間... - Yahoo!知恵袋
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1390881213

ストーカーになってしまいそう。止めてください。 : 恋愛・結婚・離婚 : 発言小町 : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2011/0613/417129.htm?g=04

なお、職場などで顔を合わせる関係の人はブロックよりも無難な解決方法がありますので、2つご紹介します。

はなしものまぐのおはなし:Facebookでブロックはお勧めしません
http://magslife.naganoblog.jp/e1118394.html

Facebookで友達削除やブロックをせず「制限」リストを使おう | Demiblog
http://demiblog.info/2012/10/facebook-%E5%8F%8B%E9%81%94%E5%88%B6%E9%99%90%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88/
posted by 村上吉文 at 10:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本語hacks! | このエントリーをはてなブックマークに追加
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