2013年07月22日

ソーシャル・メディアで日本語学習者が日本人と友達になる方法

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


Business Meeting

 このブログではいつも、「ソーシャル・メディアで母語話者と友だちになれる」というようなことを書いていますが、まだまだ実際にそういうことを授業に取り入れている先生は少ないようです。先生方自身もソーシャル・メディアで外国人の友だちが自分の学生と同僚の先生以外にいなかったりすることがありますので、無理もありませんよね。

 外国で日本語を学んでいる学習者にとって、ソーシャル・メディアで日本人の友だちをつくるというのは、簡単なようでいて、なかなかそうでもありません。日本は行ったこともない国であることが少なくない上に、ソーシャル・メディアで日本語を学ぶことが必要な場合、実際にはまだ先生以外、一人も日本人の知り合いがいないこともめずらしくないのですから。(そうでなければ、ソーシャル・メディアなど使わずに、さっさとリアルの友達と日本語でコミュニケーションして語学を磨くことができます)

 それで今日は、行ったこともなく、知り合いもいない国の言語の話者とどのように友達になるかについて、僕の実例とともにその方法をご紹介してみたいと思います。

 僕は以前、母語話者を直接探すように学生に指導していたこともあります。しかし、今ではまずコミュニティを探すように指導することが多いです。これは相手の文化にもよりますが、日本語学習者が日本人と友達になる時には、こちらの方が自然に受け入れてもらいやすいからです。

 コミュニティの見つけ方は、前にも書いたことがありますが、「自分に関係のある言葉を相手の言語で検索する」というのが王道です。たとえば、日本語教師である僕がハンガリー語を学ぶためにコミュニティを探す場合は、「日本語」を意味するハンガリー語である「Japán nyelv」でコミュニティを検索するのです。

 こうするのには、「相手が自分に関心を持ってくれること」が不可欠だからです。ご自分の立場になって考えてみてください。どこの誰とも知らない、共通言語すらない人よりも、自分が学んでいる言語の母語話者とか、自分が好きな芸能人の関係者とかの方が、ずっと友達になりたいと思う気持ちは強くなりますよね。

 さて、 Facebookで言えば、コミュニティには「グループ」と「ページ」の2種類があります。
 たとえば、「日本語」を意味するハンガリー語である「Japán nyelv」によるグループでの検索結果はこちら。
 https://www.facebook.com/search/results.php?q=Jap%C3%A1n%20nyelv&type=groups
 わーお、冷戦を終わらせるきっかけになった「汎ヨーロッパ・ピクニック」で有名なショプロンで日本語を学んでいるグループが最大だったりしますね。当時、二十歳を過ぎたばかりの多感な青年だった僕としては感慨深いものがあります。

 それはともかく、現状ではFacebookには「日本語」を意味するハンガリー語である「Japán nyelv」を含むグループが6個あり、そのうち2つが公開グループになっていて、残りは非公開グループであることが、上の検索結果からわかると思います。公開グループは外部の人間でもコンテンツを読むことができ、非公開グループはメンバーにならないとコンテンツを読むことはできません。Facebookのグループには、その他に「秘密グループ」という種類もありますが、これは検索結果にも出てこないので、今回のような目的では利用できません。

 さて、Facebookのコミュニティには「グループ」の他に「ページ」というのもあるのですが、ページでの検索結果はこちらになります。
 https://www.facebook.com/search/results.php?q=Jap%C3%A1n%20nyelv&type=pages
 これはもう、たくさんありすぎて数えきれませんね。ただ、日本語学校のページはもちろんですが、武道やアニメやキティちゃんなどの語学にあまり関係のない日本関連のページも出てきますので、その全てが学習者にとって役に立つわけではありません。

 さて、今「自分にとって役に立つ」と書きましたが、お付き合いの基本はギブ&テイクですので、「自分が相手にとって役に立つことができるか」も考えなければなりません。たとえばキティーちゃんについて僕はあまり知らないので、そういうページではあまり会員の役に立つことはできないでしょう。しかし、日本語関係のページで誰かが質問していたら、アドバイスなり、有益なリソースなどを紹介することはできます。初心者の質問というのは共通しているものが多いので、ハンガリー人のページでもGoogle翻訳を使えばほとんど意味はわかります。
 また、もちろん、僕自身がハンガリー語の文法などについて質問することもあります。

 コミュニティでの具体的な人脈の作り方ですが、上に書いたように、まずは相手に助言を求めるか、あるいは情報を必要としている人に助言するかというパターンから始めるようにと指導するのが有効です。いきなり書き込むのは怖いという学習者がいたら、その前に「いいね!」ボタンで相手に認知してもらうというワンステップを入れてもいいですね。時間はかかりますが、外国語でコメントしたりするよりはよほど敷居は低いですから。また、書き込む前にコミュニティの雰囲気を知るためにも、「いいね!」だけを押す時期があってもいいかもしれません。

 次に、もし何か教えてもらったら、当たり前ですが、お礼を言います。コミュニティで知らない人の質問にわざわざ答えてくれるようなオープンマインドな人なら、コミュニティのその場でお礼をいうのもいいですが、メッセージでお礼を言うのもいいのではないかと思います。「実はこういう理由でハンガリー語を勉強しているんです」などと個人的な事情を話すと、コミュニティではなくメッセージでお礼を言うのも自然になりますね。

 これには返事が来ないかもしれませんし、来るかもしれません。来なかったら、もしかしたら読まれていないかもしれませんので、コミュニティのオープンな場でもう一度お礼を書きましょう。これは単なる礼儀の問題ではなく、コミュニティの他のメンバーに対するアピールにもなります。誰だってお礼も言わない奴よりはきちんとお礼を言ってくれる人の方が、無意識のうちにでも助けてあげたくなるはずですから。

 もし返事が来れば、一対一の個人的なコミュニケーションが成立したということで、こうしたソーシャル・メディアの世界では「知り合い」といってもいいでしょう。ここまで来れば、次の段階「友だち申請」に進んでもいいのではないかと思います。

 ソーシャル・メディアとは便利なもので、友だち申請もボタンひとつでできてしまいますが、学習者に指導するなら、ここはやはり一言メッセージを添えると、受け入れてもらえる確率は格段に高くなります。学習者のレベルや相手の年齢などによって、「友だちになってください。お願いします」から「先日は〜の件でたいへん役に立つアドバイスをいただきました。よろしければ今後もご指導いただきたいので、どうぞよろしくお願いいたします」などと、いろいろなメッセージがあってもいいかと思います。

 Facebookの場合は、もし友達リクエストが承認されたら、お礼のメッセージとともに「リストに登録」という、その後で非常に重要になる手続きを指導する必要があるのですが、これはまた長くなるので、別の機会に譲りたいと思います。

 まとめですが、ソーシャル・メディアで人脈を広げる場合は、だいたい以下のようにステップを踏んでいくと効果的です。
・「自分に関係のある言葉を学習言語に翻訳してグループやページなどのコミュニティを検索。
・場合によってはコミュニティで「いいね!」ボタンをおすことによって認知してもらう。
・コミュニティで情報提供したり、教えてもらったりして、認知してもらう。
・何かを教えてくれた相手にお礼のメッセージ。
・返事が来たら、新たなメッセージとともに友達リクエスト。
・リクエストが承認されたら、お礼のメッセージとともにリスト登録。

 こうした教室の壁を超えた活動によって、みなさんの学生さんが日本語の母語話者とネットワークを結び、自律的に日本語を学習する環境を整えられるようになることを願っています。
posted by 村上吉文 at 08:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本語hacks! | このエントリーをはてなブックマークに追加
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