2013年03月31日

免許センター講習の改善提案

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


Drivers license

自動車の運転免許更新に行って来ました。
これ、おすすめですよ。どうやったらここまで面白くない講習になるのか、いろいろなヒントがもらえます。

では、ARCS動機付けモデルの順に考えてみましょう。

まず、A。
ビデオはそれなりに見られます。顔はモザイクがかかりますが、事故った直後の血まみれの運転手とか出てきますから、ここで寝る人はあまりいません。
それが講師の話になると、もう突然眠くなるんですよね。パワーポイントとかも使っているので、前回よりは進歩もしてはいるんですが。
質問とかもされずに、とにかく受動的に座って聞いているのみです。せめて「質問はありませんか」ぐらい聞いてくれてもよかったんじゃないでしょうかね。

次にR。
もう、自分に関係のない話が多すぎます。もちろん社会的には大変素晴らしいことではあるんですけど、「聴覚障害者の運転できる車両の拡大」とかっていう話を聞かされても、自分が運転できるようになるわけではないので、集中力を維持するのは大変です。

次にC。
できるに決まっていることと、できないに決まっていることばかり聞かされます。
たとえば「通りなれた道路でも、常に初めて運転するつもりで運転しましょう」とか言われうんですが、こんなの普通の人間には無理に決まってますよね。それをどうすればそんな新鮮な気持ちで運転できるのかの技術論もなく、精神論だけ語られても事故は減らせないと思うんですが、いかがでしょうか。
ARCSのCでは「がんばったらできそう」と思わせることが大切なわけですが、どう頑張ればそんな新鮮な気持ちで運転できるのか、想像もできません。

最後はS。
「あー、受講してよかった」とは確かに思いましたよ。だって、最後に新しい免許証がもらえるんですからね。しかし、それは受講した内容とはまったく関係ありません。
あ、もう一つありました。それはこれを受講したことで、どうすれば究極的につまらない授業になるかのヒントがもらえたことです。

というわけで、非常に学びの多かった講習でしたが、それではどうしてこんなことになるんでしょうか。

まず第一は受講者からのフィードバックがないからでしょう。この先生はいいけど、あの先生はダメ、とか明確になれば講師が反省する機会もできるのですが、少なくとも僕が今回の講師にフィードバックするチャンスはありませんでした。講習が終わるのと同時に新しい免許証が教室に届いて、受講者は順番に受け取って出口に行かなければなりませんから、講師にコメントすることなんてできないのです。

次に、受講者に対するフィードバックもありません。つまり、自分はこの講習から学ぶべきものを学べたのかどうか、まったく分かりません。もっと簡単に言うと、テストがないのです。ただおとなしく座っていて、文句を言わずに時間をすごせば、自動的に新しい免許がもらえます。

三番目に、そもそもニーズがないということもあるでしょう。上にも書いたように、新しい「免許証」がもらえることが受講の唯一の動機であり、何らかの「知識」とか「技能」を得ようという動機で受講する人はほとんどいません。もうちょっと講習のスタイルを考えれば、この時間をもっと学びの機会にすることもできるかとは思うのですが、少なくとも僕の見た現状ではそのようにはなっていないようです。

最後に、受講者の属性がバラバラであることも原因の一つになるのではないかと思います。僕のようにあまり運転しない人間から、仕事として毎日ハンドルを握っている人もいるでしょう。また、こうした研修を受講する機会の多い人や、学校を出てから初めて教室らしいところに入った人もいるでしょう。これらの多様な受講生の関心を引き付けるのは、実はプロでもそれほど簡単なことではありません。(あ、そういえば免許センターの講師もボランティアじゃなさそうですからもしかしたらプロなのかもしれませんけど)

では、どうすればいいのか。

簡単です。教育バウチャーにすればいいんです。

免許が切れる時期が近づくと、「免許更新のお知らせ」というようなハガキが来ますよね。あれを受講券にして、かつ、講習を民間の教育機関に開放するのです。講習をする教育機関は、その受講券を受講者から貰うと自治体からお金をもらえます。自治体は非効率に行われている講習にかかる費用がなくなるので、そのお金を民間の教育機関に回すことができます。

教育機関は、面白い講習を開けばたくさん受講券を集めることができ、その結果たくさんのお金を自治体からもらえます。つまり、競争の原理が働いて質の高い講習になります。

また、受講者から見れば、自分の好きな学習スタイルの講習に参加することもできます。今のように黙って聞くだけでいい講習に出たい人がいればそれでけっこうでしょうし、質問を受け付けてくれる講習に出たい人もいるでしょう。グループディスカッションなどを通して他者の経験を共有したい人もいるかもしれません。

ここまで読んで、「そこまでしてやる必要があるのかねえ」と思った人もいるかもしれません。でも、それなら答えは簡単です。意味のない講習を免許更新のたびに受講させる制度を廃止しましょう。ホント、国民の貴重な時間と血税の無駄です。

なお、教育バウチャーにご関心のある方は、ミルトン・フリードマンの『資本主義と自由』か、その解説マンガ『もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら』などを読まれることをおすすめします。マンガの方は教育問題ではなく金融の話が中心ですが。

 
posted by 村上吉文 at 16:26 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
こちらには初めてコメントします!!
私が前に受けた講習は結構おもしろかったですよ。いかに、大切なポイントを分かりやすく伝えるか、エピソード交えて話してくれて…。
めちゃくちゃきつい関西弁でしたけど。
やっぱり大阪だからでしょうかね〜。
意外に楽しく聞けたという感想持ってます!
Posted by さかうえ at 2013年04月12日 17:57
さかうえさん、こんにちは!コメントありがとうございます。
関西の人は話すことにかけてはサービス精神が旺盛ですからねー。そういうところは関東の人間も見習わなくてはなりませんね。
Posted by 村上吉文 at 2013年04月12日 19:47
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