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2007年02月18日

辺境とはロングテールである

昨日は辺境の会という日本語教師の集まりに出席しました。
そこで僕がお話したことは以下のようなことです。

まず、辺境とは何か。
辺境とは、最近流行の言葉で言うと「ロングテール」である、というのが僕の考えです。

ご存知の方も多いかとは思いますが、e-wordsの説明を一部引用しておくと、ロングテールとは以下のようなものです。

 インターネット上での現象は、生起頻度の低い要素の合計が全体に対して無視できない割合を占めるという法則。少数の上位で全体の大半を占めるという、いわゆる「20:80の法則」に対するアンチテーゼで、ネット上での人々の行動の特徴を表す理論として注目されている。米WIRED誌の編集長だったChris Anderson(クリス・アンダーソン)氏が2004年10月に発表した「the Long Tail」という記事の中で提唱した法則。
http://e-words.jp/w/E383ADE383B3E382B0E38386E383BCE383AB.html
なぜ「長い尻尾」なのか、など、詳しくは上記URLをご覧ください。

ロングテールをこのブログのアクセスを例にして説明してみます。

むらログ2/16のデータでは、全体で306のPVがありました。PVというのはPage Viewのことで、何回閲覧されたかを示します。一つのページだけが306回閲覧されても306pvですし、153のページが2回ずつ閲覧されても、306のページが一回ずつ閲覧されても、サイトのPVは306ということになります。

実際には、閲覧されたのは114ページなのですが、そのうち上位6位のPVは以下の通りです。
一位 48pv,
二位 46pv,
三位 39pv,
四位 13pv,
五位 10pv,
六位 3pv.

以下、
3回閲覧されたページは6。
2回閲覧されたページは29。
そして、残りの74のページ(全体の65%)は一回しか閲覧されていません。
これをロングテールのたとえに倣うなら、頭のてっぺんまでの高さ48メートルの巨大な恐竜は、その身長の65%は太さ1メートルしかない尻尾なわけです。

また、一回しか見られてないページの閲覧数の合計は、一位のページの閲覧数を上回ることも分かります。一位のページはもちろん最新のエントリーになるわけですが、ブログを書かなくても安定したアクセスを得やすいということでもあります。これも、過去ログがたまってきたからですね。

さて、ここまでこのブログにおけるロングテールについて説明してきましたが、これを海外の日本語教育に置き換えて考えてみます。

以下は国際交流基金による調査で、海外の日本語学習者の数字を円グラフにしたものです。

henkyou01.jpg

ここでは便宜的に「その他」になっている部分をロングテール、つまり「辺境」だとしてみましょう。韓国、中国、オーストラリアには及びませんが、四位のアメリカよりは多くなります。

つまり、辺境に共通する問題を解決したり、まとめて支援できたりすれば、第四位のアメリカを支援する以上の貢献ができるというわけです。その一つとして僕が興味を持っているのが、ブログでのアドセンスの収入です。現地で日本語のブログを書いてもらい、それに広告を載せることで広告会社から広告料を乗せるという考えです。

ちなみに、「むらログ」の今月のグーグルアドセンスによる収入は$21.47(16日現在)です。ブログを初めてから5ヶ月ぐらいで一ヶ月40ドルぐらいの収入にはなる計算ですね。これは、モンゴルなどの途上国では、少なくとも「60ドルの給料じゃ食っていけないから日本語教師を辞めてやる」という人には、ある程度魅力的な金額ではないでしょうか。

もちろん、もっと記事を書き続けていけば、収入はさらに上がるでしょう。しかも、現在はgoogleは日本の広告市場では実はyahooに大きく負けているため、広告のクリック単価が他の国より安いという事情があります。また、yahooもgoogleアドセンスと同じような記事の内容と連動した自動広告を開発しているところです。もしgoogleが一位になるか、yahooの自動広告が公開されたら、ブログによる収入はもっと増えるはずです。アメリカと同じ10倍ぐらいまではあがるのではないかという予想もあります。だとしたら月に五万円。物価の高い日本にいても、ちょっと魅力的な数字ですよね。

さて、実はこういった話は梅田望夫さんの「ウェブ進化論」で示されていて、私のオリジナルのアイデアではありません。この考えにライブドアのCTOだった小飼弾さんは「自分は知への再投資を行ってきたからそれができた。しかし途上国の人間にそんなことができるのか」というような反論をしていました。

実際、僕もコンテンツに関しては一筋縄ではいかないと思っています。単なる日記だけではアクセスが稼げないことが、この五ヶ月の経験で分かってきたからです。読者の求める情報を提供することがアクセスのカギであり、単なる日記ではそれは難しい。

しかし、少なくとも海外の日本語教師や、日本語学習者に関してなら、それには解決策があります。なぜなら、身の回りにいくらでも日本語になっていないコンテンツがあるからです。

たとえば昨日か一昨日ですが、日本の新聞にはモンゴルの大統領が来日するという記事が掲載されていました。しかし、モンゴルの新聞では、これはもう10日も前に載っていたことです。それ以外にも、日本語では手に入らないモンゴルの情報というのは、モンゴルでは簡単に手に入ります。それを日本語にすれば、コンテンツは簡単に作れます。

そこで、ちょっと検証してみました。現地のニュースを短くまとめるだけでもアクセスがあるかどうか実験してみたのです。

 検証例:「モンゴルニュース」 http://mongolnews.seesaa.net/

ここでは、まだ十日目なのに、多いときは一日に161PVものアクセスがありました。何ヶ月も続ければ、むらログと同じぐらいのアクセスは簡単でしょう。アドセンスの広告は張っていないので、どのぐらいの収入があるかは検証していませんが、少なくとも現地のニュースを短くまとめるだけでも、アクセス数は稼げることが分かります。

もちろん、著作権には注意する必要があります。しかし、私の理解では、たとえ何の創作もない翻訳でも、それに翻訳に使った字数以上の感想などを書き加えると、正統な引用として認められるはずです。あ、それに元の記事の半分以上を引用してはいけないという制限もついたはずですが。

つまり、大統領来日の記事を三行引用して、それに
「大統領は安倍さんと何の話をするんだろう。日本語教育の支援が増えるといいなあ。朝青龍とも会うのかなあ。」
などの四行の感想などを加えれば、著作権的な問題はクリアできます。

このぐらいの内容なら、もともと日本語教師をしているような人なら、ちょっと訓練すればすぐにできるようになるでしょう。また、そのような人が支援の対象としてふさわしいとも言えます。

もちろん、辺境といっても物価が高くて「それでも食っていけない」という人もいるでしょうし、ネットのアクセスも不便な人がいるでしょう。また、頭は良くても、そういったネットでの行動に慣れていない人もいるでしょう。

私も、辺境の日本語関係者全員を一人残らずこれで支援できるとは思っていませんが、しかし、多くの人が恩恵に預かるのは夢ではありません。しかも、最初の設定さえしてあげれば、後はメールを送信するだけでブログに投稿できますから、それだけなら技術的にも困難はほとんどないはずです。

また、言うまでもなく、現地の外国人が日本語でブログを書くというのは、両国の関係を促進するにも、非常に大きな力になるでしょう。それがブログ本来の力なのですから。

ということで、やりたいことはたくさんあります。3月にもモンゴルへ行く機会がありますので、現地のキーパーソンの何人かに、その話も相談できればと思っています。

posted by 村上吉文 at 20:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
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