1998年01月14日

砂の国の日本語教育27

 みなさん、こんにちは。

 誰も続きを催促してくれないので少し寂しいのですが(^^;)、ラマダン休みで授業がないので、あまり書くネタもありません。 で、今日は、日本語教育とは関係ありませんが、こちらのラマダンについて書いてみたいと思います。

 ラマダンというのは、日本では「断食」という意味だと思っていたのですが、実は単なる月の名前でして、英語で言えば「SEPTEMBER」のような、「九番目の月」という意味です。(あ、SEPTEMBERは七番目の月の意味でしたね、はいはい)

 前にも書きましたが、こちらではヒジュラ暦という、グレゴリオス暦とはことなるカレンダーを使っていて、例えば今日は1418年9月12日です。しかし、国外ではヒジュラ暦を使っているのは珍しいという認識も普及しているので、学生に、例えば「**日に来てください」というと、よく「何月ですか」と聞かれます。これは、実はいつの話をしているのか分からないのではなく、どちらのカレンダーで言っているのか分からないからだったりします。(つまり「どちらのカレンダーですか?」という日本語がまだ言えないわけです) で、「12月*日です」と言い直すと、学生の誰かが二つのカレンダーの対応表をごそごそと引っ張り出して「つまり*日だな」というようなことを言います。すると他の学生も初めて納得するのです。

 おっと話がずれてしまいました。 まあ、要するに、この九月というのは、イスラム諸国では断食をする月だということなのです。

 しかし、一ヶ月も飲まず食わずでは死んでしまいますから、実際に飲み食いが禁じられているのは、夜明け前の礼拝の呼びかけが聞こえた瞬間から、日没の礼拝の呼びかけが聞こえるまでです。つまり、夜の間は自由なわけです。

 こちらで壮観(?)なのは、この日没の瞬間です。首都の目抜き通りですら、車の通行がほとんどなくなり、まるで空っぽになってしまいます。これは、ラマダン以外の街の様子を知っている人間には、かなり信じがたい光景です。

 というのも、実は、イスラムの教えでは「日没から食べてもいい」ではなく、「日没時には何かを口にしなければならない」と規定されているのです。



 タクシーの運転手なども、客がいようとおかまいなしに車を停めて、おもむろにポケットからなつめやしなどを取り出して食べはじめます。はじめは、あっけに取られて見ていましたが、こちらがポカンと見ているのに気づくと、今度はタクシードライバーの方が「どうして食べてないんだ」と驚いたりします(^^;)

 日没まで禁じられるのは食事だけではなく、他にも喫煙やセックスも駄目です。後者はともかく、喫煙が禁止されているのは、喫煙者の異教徒にとってはかなりきついらしいです。(僕自身は吸わないので助かりますが(^^;))

 そうそう、サウジが特異なのは、この、異教徒も断食のお付き会いしなければならないという点でしょう。もちろん、「人の目のあるところでは」と但し書きがありますが、結果的に食堂やレストランは日中は営業禁止ですし、トイレに隠れて食事を取るのも気がすすみません。「そこまでやるかよ」という感じですね。

 しかし、「そこまでやるならとことん付き合ったろか」と思ってしまうのが、僕の困ったところで、一応、自宅にいても日中は飲まず食わずを続けています。

 で、身をもって体験して分ったことですが、つらいのは始めの二、三日だけで、実はすぐに体の方が慣れてしまいます。少なくとも「止めようと思えばいつでも止められる」という点で、モンゴルの食糧難の時代とは精神的なプレッシャーが全然違います(^^;)

 おまけに、実はラマダンというのはイスラムではめでたい時期なので、エジプト人などのムスリム外国人は毎晩お祝いをしています。僕もほとんど毎晩のようにどこかに呼ばれて、たらふく食べています。家に帰るのは、夜も遅いですから、結局、寝るのが夜明け前だったりして(^^;) ベッドに入りながら夜明け前の礼拝の呼びかけを聞いて、「あ、今から断食しなきゃ」と思いながら眠りにつくこともあります。

 しかし、「なんて不規則な」と思ったそこのあなた。実は、これこそこちらの規則的な生活なのです。要するに寝てさえいれば、飲まず食わずなんて関係ないわけですから。 街の飲食店は日没の礼拝が終わった瞬間に一斉に店をあけ、途中、夜の礼拝の時間を除いて、夜明け前の礼拝まで、ずっと営業しています。車の流れは真夜中でも絶えません。 銀行もラマダン中は営業時間が変わって、昼十時から午後二時までの四時間とは別に、夜の九時から十一時までの二時間もそういう人達のために正規の営業時間としています。

 ラマダン中に体重が増えてしまう、というのは皮肉な話ですが、しかし別に珍しいことでもないようです。 日本で「寝正月で太ってしまった」というのと同じような感じですね。一日の時間が逆転してしまうのが、ちょっとした違いですが(^^;)



 以上、久しぶりの続編はラマダン中継でした。

posted by 村上吉文 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
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