2006年10月30日

「シンデレラ」と「もののけ姫」

以前、書評の書き方の授業を紹介しました。研修生の原稿が上がってきていて、目を通していたのですが、そのひとつが「シンデレラ」でした。

おいおい、いまどきシンデレラかよ、というのが普通の日本人の感覚ですよね。だって、何だかシンデレラっていうと「玉の輿を夢見るだけの他力本願な女」っていうイメージがあるじゃないですか。
シンデレラ 玉の輿 他力本願」でググってみました。

でも、その書評を書いたロシア人は、そういうイメージじゃないんですよね。シンデレラは「やさしくて働きすぎる人がいつか幸運を得る」(ママ)というストーリーなわけです。

うーん、確かに、そうだ。それが、最初の感想だったはずでした。

まあ、確かにシンデレラの成功は、毎日イジメに耐え、掃除をするという努力が実った結果ではありません。というより、そのつらさから逃避したところで、偶然、幸せをつかんだわけですよね。シンデレラに比べれば、意地悪なおねえさんたちの方が、ずっと成功(この場合は王妃になること)のために努力しているわけです。

だから、がんばって成功しよう!というメッセージとしては、ちと弱い。でも、今の世の中、努力しても必ず成功するとは限りません。そんな明日の見えない中で懸命にもがいている若い人たちにとっては、「努力している人は思いがけない幸運に恵まれることがある」というメッセージだけでも、充分に意味があることなのかもしれません。だからこそ、今でも読みつがれてきているのではないでしょうか。

宮崎駿監督が、ハッピーエンドとはいえない「もののけ姫」について、「それでも生きるに値する」というメッセージをこめた、というようなコメントをしていたのを聞いたことがあります。もしかしたら、凄惨な復讐劇の中でアシタカと出会うサンと、華やかな舞踏会で王子様に見初められるシンデレラ、実はけっこう似た物語の主人公だったのかもしれません。
タグ:日本語教育
posted by 村上吉文 at 07:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
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