2012年02月11日

英語の教師が日本語教師になるなら420時間よりも検定がおすすめ

 最近、英語教師から日本語教師に転身なさる方、もしくは転身を目指す方が増えています。実を言うと、この狭いエジプトの日本人社会でも、少なくともお二人、そういう方がいらっしゃいます。それとは別に、日本で国語の教員をなさっていた方で、こちらでは日本語教師として活躍していらっしゃる方も存じ上げています。

 さて、本題に入る前に国語の先生と英語の先生では、教える内容だけ考えれば国語の先生のほうが日本語教師に向いていると考えがちですが、逆に日本語教師である僕が転職するとしたら、どう考えても国語教師より英語教師の方が仕事として共通点が多いように思います。というのも、「母語を教える仕事」と「外国語を教える仕事」ではまったく仕事の内容が違うからです。国語教師は母語を教える仕事ですから、知らない言葉を覚えるような勉強や文型練習などはほとんどしませんよね。ところが、英語教師と日本語教師は外国語を教える仕事なので、語彙や文型練習などが必要なだけでなく、自分の文化と比べて目標言語の文化はどのように違うのか、などの視点も必要になります。

 ということで、日本語教師に転身するとしたら国語教師より英語教師のほうが楽なのではないかと思うのですが、では、その英語の先生はどうすれば日本語教師になれるのでしょうか。

 日本語教師になるには420時間の養成講座などの幾つかのパターンがありますが、英語教師としての経験が少なくとも一年程度あれば、僕は420時間も講座に通うよりも、日本語教育能力検定試験を受けることをお勧めします。というのも、検定に対する420時間養成講座の大きな売りとしては実習があることだと思うのですが、英語教師の経験のある人にとって、日本語教育の実習はそれほど驚くべき体験にもならないだろうと思うのです。もちろん、時間もお金も余裕のある人なら、実習も「やらない」よりは「やった方がいい」とは思います。しかし、コストや時間をかけられない場合は、間違いなく検定の方がいいでしょう。何と言ってもほぼ一万円で受験できるのですから。

 受験料の他に勉強にはお金がかかるのではないかと思う人もいるでしょうし、実際、何の準備もない人はある程度お金をかけて勉強しないと検定には合格するのは簡単ではないでしょう。しかし、英語教師になった人なら言語学やら外国語教授法やら教育心理学やらは一通り勉強しているはずです。そういう人ならまったくお金をかけずに図書館などで勉強するだけで検定に合格することは充分に可能です。たとえば先日の「私が日本語教師になったわけ」でも以下のような方がいました。
それで日本語教育は自分の専攻とは全然ちがっていたけれど、また博論の追い込みと第二子妊娠中でけっこうしんどかったけれど、図書館から参考書を20冊ぐらい借りてきて一週間ぐらい勉強し(私の母校に日本語教育専攻があったおかげで図書館にその関連書籍が充実していて本当にラッキーだった)、ダメモトで日本語教育能力検定を受けたら、これまたラッキーなことに受かった。
「非日常の国イスラエルの日常生活 私が日本語教師になったわけ」
http://levyyamamori.blog.fc2.com/blog-entry-129.html
この方は比較文化がご専門だったので「20冊」と書かれていますが、英語教師の方だったら5,6冊でいいのではないかと思います。

 この方が検定を受験されたのはおそらく二十年ほど前のことだと思われます。当時は確かに日本語教育関係の図書が充実していた図書館は非常に少なかったのですが、今では地方都市の県立図書館などでも日本語教育関係の本はかなり入っていますので、特別にラッキーな人でなくても勉強することは可能になっています。

 以前は420時間の養成講座の売りとして、実習の他に「そこで得られる人間関係」がありましたが、SNSの発展はそうした限られた場で作られる人間関係を軽々と飛び越えるようになってしまいました。特に、海外で働くことも視野に入れている場合はSNSの力が強く発揮されます。

 また、残念なことに養成講座の場合はレベルのばらつきが非常に大きく、すばらしい授業をしているところもあれば、そうでないところもあります。一方の検定については、優秀な人が落ちてしまうという方向の間違いはあるかもしれませんが、勉強してない人が合格してしまうという心配はほとんどないものと思っています。

 したがって、少なくとも僕個人が「元英語教師、420時間の養成講座修了」という人と「元英語教師、日本語教育能力検定試験合格」という二人のどちらかを採用しなければならないとしたら、間違いなく後者を選ぶと思います。
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