なぜ僕は日本語教師になったのか。ひとことで言うと「生き残りたかったから」です。
なぜそう思うようになったかというと、二十歳の時のワーキングホリデーでの経験の結果でした。それまでは教養学部語学科英語専攻というところにいて、要するに英語で身を立てようと思っていたのですが、ワーキングホリデーでカナダに行ってみたらそりゃ驚きましたよ。だってホームレスもみんな英語が喋れるんですもん。
もちろん、英語圏ではホームレスが英語でしゃべっていたって何の不思議もないんですが、少なくとも、いくら英語を勉強しても、語学以外の専門性もなく「英語がしゃべれるだけ」というのは、何のアドバンテージにもならないことがよく分かったんですよね。
もう一つカナダで痛感したのは、これから自分が生きる時代は地球上の全員が競争相手になる時代なのだということでした。ご存じの通りカナダは移民社会で、僕が皿洗いなどをしていたホテルにもパキスタンやインドなどの南アジアの人たちや、チェコなどの東ヨーロッパから来ている人たちが大勢いました。これが1987年でしたから、今思えばプラザ合意からたった二年後、まさに日本にグローバリゼーションの波が襲いかかってきた時期だったのです。日本にもこうした海外の労働力が流れこんでくるのはもはや避けようがなく、自分の競争相手は日本人だけではないことが肌身に沁みました。
しかし、これからの時代を生き残るために、東ヨーロッパや南アジアの人たちと戦わずに済む場所をみつけることはできないのだろうか。あるいは、彼らに対して最初から自分にアドバンテージがある戦場はないのだろうか。
大学の一年目を終えたばかりでまだ何の専門性もなく、借金だらけの貧乏な家庭の出身だった自分にとって、彼らより自分が上手にできることといえば、日本語が話せるということしかなかったんですよね。
自分は日本人としては普通だけど、世界的に見れば日本語がかなり上手な方の部類に入る。そして、グローバリゼーションの中でこれから日本に来る外国人はどんどん増える。日本語教育なら自分のアドバンテージを活かすこともでき、しかもパイはどんどん増えていくのではないか。
振り返ればかなり安易な考え方ではありますが、二十歳のガキであった自分としてはそれが精一杯の判断でした。そういうわけで帰国後すぐに英語専攻から日本語学専攻へ転科する手続きを取ったのですが、その後、日本語教師の間ではすっかりお馴染みの「日本語を教えるのってこんなに難しいの?」という面白さというか壁というか、そういう衝撃にぶちあたることになります。
もっと他の人たちのことを知りたい人は、今回の企画の他に「海外で日本語を教える―ネイティブ日本語教師への期待」という本もあります。僕自身も、今日ここに書いたようなことをもう少し詳しく書いています。ご関心のある方はamazonなどでお買い求め下さい。
その他、今回のブログでは現時点で以下の10エントリーが確認できます。(括弧内はトラックバックのアドレスです。)
日々どっかで わたしが日本語教師になったわけ
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私が日本語教師になった理由|Penのブログ
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私が日本語教師になったわけ ≪ NIHONGO hacks!
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私が日本語教師になったわけ : ごぅいんタイワン
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Largo ma non troppo: 私が日本語教師になったわけ 〜その1〜
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私が日本語教師になったわけ|pancho in hong kong
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Apprendre le japonais à Nantes ≫ Blog Archive ≫ 私が日本語教師になったわけ
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もし日本語教師がアラビア語を勉強したら 私が日本語教師になったわけ
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むらログ: とにかく生き残りたかったから日本語教師になった。
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私も村上先生のように行動力ある教師になりたいです。
実は1年目のころからこちらのブログを拝読しております(隠れファンです!)
これからもよろしくお願いします。
以前から読んでくださっていたんですね。ありがとうございます。
せっかくGoogle+もやってらっしゃるので、よろしかったら今度の日本語教師オンライン研修にもビデオゲストでいらっしゃいませんか?