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2010年12月09日

授業でDVDを上映するときの著作権に関する私見

you can show DVD in your class!

著作権ってなかなか難しいですよね。
それで、授業でDVDなんかを見せたいにもかかわらず、違法かもしれないから止めておく、なんてこと、ありませんか? 僕のところにも、「そんな授業をしていいのか?」と聞かれることがあります。

それで、僕の著作権に関する考えをまとめておきます。これはあくまでも僕の個人的な認識であり、公務では現在、市販のDVDを使った授業は行っておりません。

まず、僕が気をつけているのは、以下のことです。
1.市販DVDなどの動画をコピーして学生に渡さない。
2.配布する自作プリントには映画の台詞も含まれるが、映画全体の半分を超えない。
3.配布するプリントのうち、台詞はプリント全体の半分を超えない。

2と3は「引用」の条件で、こうすることにより、「転載」には該当しなくなると思うんですよね。(著作権法第三十二条)

その他、「複製」に関することは以前に書いたことがあります。
http://mongolia.seesaa.net/article/83708557.html

で、今回は「上映」なんですが、これも著作権法に書いてあります。
著作権法第38条第1項 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。
以下、条文に沿って考えたことを書いてみます。

【公表された著作物は】
市販のDVDは明らかに公表された著作物なのでOK.

【営利を目的とせず】
営利、非営利の区別は前にも書きましたが、学校法人なら私立であっても非営利団体となるようです。株式会社が経営する日本語学校は該当しないかもしれません。

【公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。】
「上映」というのが入っているので、上記二つと以下の二つの条件を満たしていれば市販のDVDを教室で上映できるわけですね。

で、面倒くさそうなのが残りの二つです。

【聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には】
ここが一番引っかかりそうなところですよね。「いずれの名義をもつてするかを問わず」なので、「授業料」なのでもだめなのかと思ってしまいます。

この点については「copyright.watson.jp」というサイトに
「たしかに授業料は徴収していますが、それは教育の対価であって、著作物に関するものではないからです(作花・詳解329〜330頁)。」
http://copyright.watson.jp/nonprofit.shtml
という記述があります。このサイトについては、誰が書いているのか分からないのですが、最後の「作花・詳解329〜330頁」というのは『詳解著作権法』という本のことらしいです。

で、この本を書いた作花文雄さんという人は、以下のような経歴です。
放送大学客員教授(平成14年〜現在)、内閣法制局参事官(平成13年〜平成18年)として、著作権法の教育・研究活動及び立法政策・立法審査に従事。
まあ、そういう人が言っているのだったら、それを信じて授業をしても怒られることはないんじゃないかと思います。

条文にはもう一つ但し書きがありますよね。

【ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない】
教員も給料が出ていますが、これも上の「授業料は徴収していますが、それは教育の対価であって、著作物に関するものではない」の例に当てはめれば、「報酬が支払われる場合」には該当しないものと思います。

ということで、僕は少なくとも自分の判断では、今の僕の所属している組織で授業中にDVDを上映をしても違法ではないと思っています。

ただ、申し訳ないのですが、僕は法律の専門家ではありません。みなさんがこの記事を読んで何か問題に巻き込まれても、僕は責任を負うことができません。皆さんご自身の責任でご判断ください。


posted by 村上吉文 at 13:06 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日本語hacks! | このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
著作権は、判断が難しいですよね。

もしかしたら、皆さん、ご存知かもしれないですが、
社団法人著作権情報センターというところがあります。

http://www.cric.or.jp/index.html

迷った場合、電話相談もできて、私も一度、利用したことがあります。

http://www.cric.or.jp/office/soudan.html

ご利用はご自身の責任でご判断を。
Posted by 青山美佳 at 2010年12月10日 07:32
青山さん コメントありがとうございます。
僕もここのケーススタディにはお世話になってます。でも、映画を授業で使うことには触れてないんですよねー。そもそも「違法かも」と思う人がいないのなら、それはそれでいいのですが。
Posted by 村上吉文 at 2010年12月10日 20:37
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