2010年05月16日

「激変するラーンスケープ(Learnscape - 学びの光景):TwitterとUST時代の学びを考える」

みなさん、こんにちは。「知のエコシステムをつくる人」の村上です。
なんだそりゃ?
と思った方、ぜひ以下のページをご覧ください。おもろいでっせ!
「激変するラーンスケープ(Learnscape - 学びの光景):TwitterとUST時代の学びを考える」http://www.nakahara-lab.net/blog/2010/05/learnscape.html

いや、何かって言うとですね、ネットと学習の関係がなかなかうまく考察されていて、「そうそう、そういうことを言いたかったんだよ、俺は」なわけですよ。ま、東大の教授をつかまえて言うのも何ですけど。

しかし、本題に入る前に、冒頭の「知のエコシステムをつくる人」ですが、中原氏は人によってtwitterでフォローする相手のタイプが違うことに注目し、次の四種類に分類しています。
 1.ただたんに有名人をフォローする人
 2.新聞社やお天気などの「1次情報」をフォローする人
   =情報収集としてTwitterをとらえている人
 3.1次情報に付加価値をつけて発信する人をフォローして、
   =収集する情報の選別を行っている人
 4.収集した情報をもとに問いをなげかけて、みんなと一緒
  に考え、自分なりの考えをブログにまとめている人
   =知のエコシステムをつくる人
ジャーナリストの佐々木俊尚さんが「ブログは講演会、twitterは立食パーティ」といった比喩をどこかに書いてらっしゃいましたけど、そういう違いが中原氏の視点にもよく現れていますよね。

しかし、今日ここで皆さんにご紹介したいポイントはそこではなく、中原氏の以下の問いかけです。
ソーシャルメディアをもった専門家が提供する価値よりも、あなたがかかわることで、わたしたちが得られる付加価値は何ですか?

なかなか痛いですよね。
要するに、学生がustreamとかyoutubeとかで直接、東京大学や京都大学のその分野の第一位の先生の授業を受けられる時代に、二位以下の人はどうすればいいんでしょう。学生から「あなたに、この先生以上のことが教えられるんですか?」と聞かれたら?

その答えの一つは「体験経済」だと僕は思います。語学の場合は特にこれが有効に働くので、日本語教師のみなさんはあまり恐れる必要はないでしょう。

「体験経済」というのは、「その場にいて、その活動に実際に生身で参加できることの価値」とでも言えばいいんでしょうか。たとえば一方的な講義形式の授業の場合は、受け身に聞いているだけですから、実はビデオを見ているのとあまり価値は変わりません。たとえライブ中継だったとしても、そこに参加できないと言う意味は、録画のビデオと同じなのです。

しかし、参加型のセミナーの場合、そこにいて活動するのと、それを外から見ているだけとか、あるいは録画ビデオで見ているだけというのは、まったく価値が異なるわけですね。

そういえば、先日ご紹介した『フリー』という本でも、このことは触れられていました。録音した音楽なんかは無料でどんどん差し上げますから、そのかわりライブに来てくださいね、ライブじゃもっと興奮させますよ!というようなビジネスモデルです。教育に関しても、授業のビデオなんかはどんどん公開して、その場に参加する人だけからは授業料を取るというモデルも、充分に成り立つでしょう。

その場合は、もちろん一方的な講義形式の授業しかできない人は淘汰されてしまうことになると思います。でも、それは仕方がありません。だって、時代はustreamなんですから。

ということで上記の質問
ソーシャルメディアをもった専門家が提供する価値よりも、あなたがかかわることで、わたしたちが得られる付加価値は何ですか?
というのは、実は教師たちにとって本質的には以下のことを問いかけているのではないかと思います。

「あなたはustreamやビデオ録画と同じ一方的な授業しかできないんですか?」

ここで「違うよ!」」と答えられる教員にとっては、少なくとも今のustreamとtwitter程度の使い方では脅威にはならないものと思います。

ただ、ustreamとtwitterをもっと本格的に使うことができれば、これは正直すべての教員にとっても脅威になると思います。それについては、また別の機会に。


2010/05/17追記
twitterで中原氏よりコメントをいただきました。
http://twitter.com/nakaharajun/status/14097308812
posted by 村上吉文 at 10:05 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日本語hacks! | このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
大変共感しています。

私も数年前のEラーニングの学会発表の質疑応答で「それでは実際の授業の位置付けは」という質問に、ちょうど同じように「ウェブ上でのEラーニングはCDで、授業はライブ、アドリブと一体感、同じ場にいる相互作用など、違うもの」と言いました。

反応は今一つでしたが…。

更に言えば、今の時代「CDしか聞かない人はいるかもしれないけど、ライブしか見ない人はいない」のかも…。これからそうなっていきますね。
でも、ライブは、絶対なくならない。3Dニコニコテレビ(?)で生中継してもライブはなくならないはずです。

あとは、私は演劇好きなのですが、演劇(教室での授業)と映画(Eラーニング)を比べてみてもいいかもしれませんね。二つは全く違うものなのに、Eラーニングのコンテンツは、教室のものをそのままウェブに移すのが未だ多いような。
演劇をテレビで見てもつまらないですからね…
Posted by Jun Arisue at 2010年05月16日 17:32
arisueさん、コメントありがとうございます!
教室のパワーポイントをそのままe-ラーニングにしているのものも多いですけど、教科書をそのままe-ラーニングにしているのもありますよね。
なんだか、せっかくのインタラクティブ性が「ページをめくる」以外に生かされていなかったり。

でも、twitterとustreamは使い方を工夫すると、もう少し面白いことができるんじゃないかなあ、と思うこともしばしばです。
Posted by 村上吉文 at 2010年05月16日 21:40
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