今日は飛行機の中で読んだ一冊、『誰とでも15分以上 会話がとぎれない!話し方66のルール
既にいろいろな人が書評を書いていますし、一般的な感想はこちら
一つ目は、すぐに使えそうな「話のネタ」がたくさんあるということ。
たとえば
起きてから出勤までの時間は何分か。
何分前に集合場所に到着するか。
かばんは人より大きいか。
降水確率何%で傘を持つか。
こういった、あたりさわりがないが、その人の個性が出やすく、話が続きやすいネタがいくつも載っています。
ポイントの二つ目は技術。
たとえば感情を表す語彙を増やすということ。「それはよかったですね」よりは「それは嬉しいですよね」の方がいいし、さらに「それは感激しますよね」と言った方がもっと相手の感情への共感を示すことができます。
また、日本人は相手の収入や配偶者の有無を直接質問したりしないものですが、「月給はいくらですか」などと聞いて失敗する学習者も多いですよね。そういう場合は「そんな質問するな!」と私はいつも叱ってきたのですが、この本にはこんな質問が紹介されています。
「ずいぶん稼いでいらっしゃるんでしょうね」
「きっと奥様は素敵な方なんでしょうね」
もちろん、こういう質問で「ははは。月給二十五万だよ」「ああ、とっても素敵な妻だよ」なんて答える人もいないとは思いますが、少なくとも自分でどう感じているかの手がかりはえられるのではないでしょうか。
最後に、この本で僕自身がいちばん「なるほど」と思ったのは「一瞬の感情を質問する」ということ。
たとえば「ハノイの印象はいかがですか」などと質問しても、漠然としすぎていて答えにくいですよね。日本語教師はこういうとき「ベトナム料理は好きですか」とか「揚げ春巻は好きですか」などともっと絞って具体的に質問するように指導することが多いと思います。ま、基本的にはそれと同じなんですが、この本ではそこに「一瞬の感情」をいれるというワザが紹介されています。
つまり、「ハノイの印象はいかがですか」の代わりに「ノイバイ空港に着陸した瞬間はどんな風に感じましたか」とか「初めて揚げ春巻を食べた瞬間はどう思いましたか」などと聞くのです。
こう質問されてみると、確かに自分の中にその瞬間の生き生きとした感情が甦ってきて、舌が滑らかになりそうですよね。
ところで僕は、この一冊を読みながら、三年前に見た、似たような記事を思い出しました。こちらです。
一見、他人を利用しているように見える平田さんだが、休みの日に祭りに参加させられたり、高いジャズの店に連れて行かされたりしている。まるっきり得しているわけではない。事例4で本人が言っている、「なんで自分がそんなに沈黙を恐れるのかよく分かりません。」が本心に近いかもしれない。
対人スキルのテクニックを聞くためのインタビューであったが、うっかり闇を見た気がする。
「対人スキルが高すぎる人」
http://portal.nifty.com/2006/09/05/a/
この『話し方66のルール』でも、著者は会話がとぎれてしまうことを「ついにやってきてしまった恐怖の瞬間」とか書いていたりしていて、僕には非常に違和感があるんですよね。
たとえばモンゴルの遊牧民の地域では、となり(と言っても何キロも先だったりしますが)のゲルから人がやってきて、無言で座り込んだりすることがあります。あいさつもないままそのゲルの主人はお茶を出し、客はお茶をすすってから客同士で「そろそろ行くか」と言ってそのまま出ていく、そういうシーンに何度も出くわしました。
もしかしたら用事があってきたのに、予想外の日本人がいたから黙って出ていったということなのかもしれませんが、少なくとも沈黙を恐れる人たちでなかったのは事実ですね。
ですから、過度に「話がとぎれない」ことを目指す必要もないのではないかと思うんですが、少なくとも自分の担当している学生で「話が続かなくて困っている」というニーズのある方には、この本は役に立つと思います。文章も平易ですから、能力試験二級程度でもすいすい読めてしまうんじゃないでしょうか。


