2009年10月14日

ついにベールを脱いだ「新しい日本語能力試験」



日本から「新しい日本語能力試験ガイドブック」が届きました。やはり今年が最後となる従来の日本語能力試験とは、大きく異なる点があります。

二科目になる級
まず、試験科目ですが、N1とN2(一級と二級)では今までの「文字語彙」と「読解文法」が一つの科目になります。聴解はそのままで独立した科目として残ります。したがって、N1とN2では、試験科目は二つです。N3からN5は三科目で、「文字語彙」「文法読解」「聴解」の三科目です。

4レベルから5レベルへ
なお、耳慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、N5というのは従来の四級に相当するレベルです。N4が従来の三級で、N3が二級と三級の間に新設されたレベルですね。

聴解と読解が重視される
試験科目の区分でもう一つ大きな変更点は、聴解の得点が今までは全体の四分の一だったのですが、それが三分の一まで大きくなるという点です。25%から33%に増えるので、統計的にも聴解が苦手らしいベトナムにとっては、ちょっと苦しい変更点ですね。

ただ、背景にある考え方としては「言語知識」そのものよりも「課題遂行のための言語コミュニケーション能力を測定する」という方向性があったからで、聴解だけでなく読解もN1からN3では増えているということです。まあ、逆に言うと文字語彙と文法が減っているということですね。これらは言語の「素材」であり、「能力」ではないので妥当な方向ではないかと思います。

全体的な変更としては、重要なことは以上の三点ですが、試験の内容についても大きな変更があります。

現行試験では実施されていなかった新しい形式の出題
この「ガイドブック」には「現行試験では実施されていなかった新しい形式の出題」としていくつかの出題形式が示されています。

文字語彙は変わらない
文字語彙の試験では「部分的な変更はある」とされているものはありますが、「現行試験では実施されていなかった新しい形式の出題」というのはありません。

文法は半分が新形式の出題
文法では「文の文法2(文の組み立て)」と「文章の文法」という二つの大問が新形式です。小問数20のうち、「文の文法2(文の組み立て)」が5問、「文章の文法」が5問なので、半数が新しい形式ということになりますね。なお、従来のままの形式は「文の文法1(文法形式の判断)」という大門で、出題数は10問。

きになる「文の文法2(文の組み立て)」は、「ねらい」として以下のように紹介されています。「統語的に正しく、かつ、意味が通る文を組み立てることができるかを問う」
これは別のページでは「一文レベルの並べ替え形式」とされていて、別冊の「問題例集」のN2ではこんな具体例が載っています。
次の_★_ に入れるもっともよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
  あそこで ___ ___ _★_ ___ は山田さんです。
 1 テレビ  2 見ている  3 を  4 人


文法でもう一つの新形式である「文章の文法」は「ねらい」では「文章の流れにあった文かどうかを判断することができるかを問う」になっていて、以下のようなものです。
 街にはおもちゃがあふれています。贈り物におもちゃを買おうと思っても、おもちゃに並ぶ多種多様なおもちゃの前でどれを選んだらいいか迷ってしまったという方もいるかもしれません。
 そこで、ある団体が、おもちゃを選ぶ参考にしてもらおうと、毎年 「  17  」の中から、優良なおもちゃ、「グッド・トイ」を選定しています。お店で見てすぐに分かるように、選定された「グッド・トイ」には 「  18  」ので、おもちゃを買うときにも参考になります。(本文は以下略)
[17]
1 たくさんの贈り物  2 選んだ贈り物  3 数あるおもちゃ  4 迷ったおもちゃ
[18]
1 グッド・トイマークがつけられていました
2 グッド・トイマークがつけられています
3 グッド・トイマークをつけておきました
4 グッド・トイマークをつけてみます


この他、読解では「相互売り買い」ではなくて「総合理解」として「複数のテキストを読み比べて比較・統合しながら理解できるかを問う」という出題形式や「広告、パンフレット、情報誌、ビジネス文書などの情報素材の中から必要な情報を探し出すことができるかを問う」という「情報検索」の二つの出題形式が「現行試験では出題されていなかった新しい出題形式」とされています。

同じように、聴解では「質問などの短い発話を聞いて、適切な応答が選択できるかを問う」という「即時応答」も新しい形式だそうです。問題例では「あれ、佐藤さんって、今日、お休みだったっけ?」に対して「はい、とても楽しかったです」「はい、昨日休みでした」「あ、午後からの出勤だそうです」の中から選ぶ問題が紹介されています。選択肢が三つしかないというのも新しいですね。

その他、詳しいことは全部、以下のサイトからダウンロードできます。
http://www.jlpt.jp/j/about/new-jlpt.html
「概要」はずいぶん前に発表されていましたが、それ以外は新しい内容ですので、ご参考になるかと思います。
posted by 村上吉文 at 07:25 | Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
うーん。
これって、試験問題は、非公開でしたよね。

せめて、2、3年は、公開してくれれば、大体の様子が分かるのに…。

ちょっと対策が立てにくいですねー。
Posted by ichamonologyst at 2009年10月14日 13:08
F島先生、こんにちは!

試験問題は非公開だと聞いていますが、以下のページから「問題例」がダウンロードでき、それぞれのレベルから、いくつか問題を見ることができそうです。
http://www.jlpt.jp/j/about/pdf/mondai/kousei.pdf
Posted by 村上吉文 at 2009年10月14日 13:32
「問題例」のアドレス、ありがとうございます。

でも、とにかく、これらが具体的にどんなものとなって出てくるかを見たいのと、実際にどのような対策を立てればいいのかの見当を立てるためには、過去問題を見なければなりませんよね。

まあ、どこかの出版社が、熱心に調べ、練習問題を作ってくれるのでしょうが。

まあ、自分で考えればいいのでしょうが、それにはあまり、信用できない面がありますので…。

Posted by ichamonologyst at 2009年10月14日 15:17
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