2009年02月17日

自動車を作れる人と、道案内ができる人。

自動車を作ったり、故障を直したりする人は自動車に詳しい。

だけど、自動車に詳しい人が運転が上手かというと、それは別の話だ。逆に、運転だけできて、自動車を直せない人も、もちろん、たくさんいる。

つまり、ある道具の作り方や直し方が上手なことと、現場でその道具が上手に使えるっていうことはまったく別だってこと。

自動車の場合、現場でその道具が上手に使えるていうのは、車について知っているよりも、実際の道路についてよく知っている方が大事なんじゃないだろうか。つまり、地図が頭の中に入っているとか、カーナビがふつうに使えるとか。道案内をしたり、大切な人を目的地まで連れていったりするには、乗っている車のエンジンが何気筒かなんてことは、知らなくてもぜんぜん困らない。

同じことはネットについても言えるような気がする。
というのも、何人か知っているIT系の人たちは、意外とネットについて知らないんだよね。

いや、そりゃもちろん、ネットで使われている技術についてはよく知っているんだけど、ネットで話題になっていることとか、有名なサイトとかも詳しくない。

たとえば、この前はスカイプを知らない人がいた。日本を代表する超有名なIT企業でハードウェア関係の開発をやっている人なんだけど、たぶん彼は社内では専用のIP電話ソフトを使っていたりするんだろうな。もちろん、彼は彼でそれで問題なくやっているんだろう。それに、自分の専門の知識を仕入れたりするサイトなんかはよく知ってるんじゃないかとは思う。でもスカイプは知らない。

つまり、ITの専門家がネットの地図を知っているかというと、それほどでもなかったりする。もしかしたらトヨタの自動車を開発している何千人もの人の技術者の中には、運転免許を持っていない人がいるかもしれない。

で、ここからがようやく本題なんだけど、「学習の高速道路」で語学を身につけるときに、学生はどういうことを知りたいんだろう。逆に言うと、これからの時代、語学教師に求められる役割っていうのは、どう変わるんだろう。

そのポイントの一つが、ネットの地図を持っているかどうかってことなんじゃないかと思う。

自分はベトナムでもっとも有力なSNSであるYahoo!360でベトナム語を使ってみることができたわけだけど、これは本当に偶然。たまたま、ベトナムではYahooというグローバル企業が最大手で、しかも招待制でなく登録制だったからこそ、英語ですべての手続きができた。でも、日本のmixiみたいにローカルなSNSが最大手だったりしたら、当時の自分の語学力では、まず手続きはできなかったと思うし、招待制だったりしたら、物理的に無理。だって渡航前の当時は、ベトナム人の知り合いなんて、一人もいなかったからね。

で、そういう偶然に恵まれなかった人には、
「ああ、ホゲホゲ語を勉強しているんなら、このSNSに入るといいよ。ここは招待制だから、これから招待メールを送るよ」
というようなサポートが絶対に必要なわけ。

こういうサポートっていうのは、いうまでもなく日本語の学習者にも必要なんじゃないかと思う。

たとえば、日本語を一から勉強したいなら、どういう体系的なサイトがあるかとか、意味を知りたいならどこの辞書サイトがいいかとか。

相手が中級から上級だったら、mixiやGREEは大手だけど日本の携帯を持っていないと登録できないとか、カフェスタは登録できるとか。スカイプで「スカイプミー」モードになっている人は知り合いじゃなくても話しかけていいとか。それをどうやって検索するかとか。

まあ、要するに道案内。これも梅田望夫さんの言葉だけど「ネットに住むように暮らす」ユーザーにとっては、自分の住んでいる町を道案内するみたいなもの。それほど大変なことじゃないと思う。

でも、駅から自宅までと、その間のコンビニぐらいしか知らない人にとっては、道案内はできない。ネットをそういう風にしか使っていないと、ネットでの道案内も難しそうだ。

そういう語学教師が、ネットでの道案内も仕事としてしなければならなくなったら、一番の方法は「検索する習慣」を身につけることじゃないかと思う。

これって、自分も最近まで知らなかったんだけど、検索しない人ってホントに検索しないんだよね。そもそも必要がない人とか、育児で忙しいからキーボードなんか触れないとか、そういう人は理解できるんだけど、必要な情報があって、それを検索するだけの環境も整っているのに、なぜか、検索しない。よくわからないけど、しない。たぶん、恨みでもあるんだろうけど、しない。

外出しないと、道案内はできるようにはならない。だから、そういう人はネットの地図も手に入らない。もちろん、その人の自由なんだけど、でも、もったいない話だなあ。

だけど、そういう特殊な人をのぞけば、いつも検索してれば、道案内ぐらいはすぐにできるようになるわけ。

あ、それからもう一個。やっぱSBMだな。地図を頭に入れるためには、どこに行ったのかを地図上に記入しておくと、覚えやすい。ネットでそれをやるのがSBM(ソーシャル・ブック・マーク)。

SBMは自分だけの地図じゃなくて、みんなが書き込める地図。みんなが目印をつけていたら、その場所が他の人にとっても意味があるってことになる。

SBMは地図上で急に目印が増えたりした場所も教えてくれる。紙の地図じゃ、新しいデパートができても分からないけど、SBMはそういうこともできるわけ。

語学教師が「学習の高速道路」で学生をサポートしてやるには、とりあえずはその二つだけ押さえておけばいいんじゃないかなあ。

「自動車を作れるようになれ」っていうのとは、わけがちがうでしょ? しらないことはすぐに検索することと、調べた場所を地図上にマークするっていうことを習慣にするだけ。明日からといわず、今この瞬間からできるんじゃないでしょうか。



・・・え? いいSBMを教えてくれって?

そういう人にはSBMの代わりに、いい呪文を教えてあげよう。
ググレカス!

posted by 村上吉文 at 08:44 | Comment(5) | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
最後笑いました。
レベル3探知呪文ですね、分かります。
ググレ
ググレア
ググレカス

「検索をしない人」は
試しに検索したんだけど、必要な情報に
たどり着けなかったという失敗体験が多すぎて、
検索する気がなくなったのかもしれません。


←「中部セミナー?」お待ちしています♪
Posted by サンボン at 2009年02月17日 18:32
はてなだとこんなのがありましたね。

http://anond.hatelabo.jp/20090209235643

http://anond.hatelabo.jp/20090210170830

テンプレにして遊んでるだけとはいえ、面白いなーと思いました。
専門的個人VS集合という対立は無くならないかもですね。
でも、じゃあやっぱり専門的集合知が最強?w
Posted by ようすけ at 2009年02月17日 20:56
先生、ご無沙汰しております。

私はネットで情報検索が好きです。だけど、検索したい情報がなかなか出てこないことも時々あります。その時はやっぱり頭に来ます!それは多分性格のせいかもしれないですけど、検索ってスキルやコツも大切なんだから、やはり「検索したい」だけは簡単に検索したい情報を手に入れられるわけではないかなと思いますが。
Posted by ajisai at 2009年02月18日 11:26
どうして急に文体が変わったのですか?個人的には、以前の方が。。
Posted by nande? at 2009年02月25日 09:25
>>サンボンさん
ご無沙汰してます。中部セミナーではお世話になりますね。
検索でうまい結果に辿り着かないのは、たぶん検索語の洗濯に問題があると思うんですよね。でも、その部分を「センス」で片づけないでいい結果に結びつけられる指導法がないかなあ、と考えているところです。

>>ようすけさん
増田、拝見しました。なかなか面白いですね。
SBMが叩かれていますが、これは
「そうやって専門家発の精度の高い情報がダイレクトに手に入る環境を作れば、自然とSBMやRSSなんか辞めてるから(笑)」
ということなんですね。
自分の専門分野で「最新の情報」を得るには、私もSBM(つまり、すでに多くの人が知っている情報)を頼りにしてはいけないのは、まさにその通りだと思います。
ただ、学習の高速道路で語学を身につけるには、コミュニケーションする相手を学習者に紹介する必要があります。つまり、多くの人が集まっているところを知ることが重要なので、SBMが役に立つわけですね。
ネットリテラシーの低い人が読むと、その辺が誤解されそうな気がしましたので、ちょこっと補足しました。(テンプレでの遊びにマジレスするのも恥ずかしいのですが、念のため)

>>ajisaiさん
ajisaiさんみたいにベトナムでも最優秀な人でもそうなんですね。やっぱり、ベトナム語で検索するときより、日本語で検索するときの方が大変ですか?

>>nande?さん
実は、他の場所に出すはずのものだったんですが、自分でボツにしたんです。文体だけ直すのも面倒だったので、そのまま出しました。今後は元のままで書きますのでご心配なく。


Posted by 村上吉文 at 2009年03月01日 21:33
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