2008年08月20日

一級対策講座の聴解で気づいたこと

能力試験対策で聴解を受け持つのは初めてだったのですが、今週の月曜日から授業を始めました。で、気づいたことを二点、書きます。

一点目は、まあ、気づいたことと言うほどでもないのですが、職場にある教材の比較です。同じような授業を担当する人が他にもいると思いますので。こんな感じです。

新基準対応 日本語能力試験1級・2級 試験に出る聴解』(桐原書店)
・2級と区別されていないので、1級対策コースとしては使いにくい。
・模擬試験はある。一回分だけ。

新基準対応 日本語能力試験1級・2級 試験に出る聴解』(アルク)
・薄い本で、三科目を扱っている。
・聴解に限定すると量は少ない。
・模擬試験はコースの最後のほうで役に立ちそう。

実力アップ!日本語能力試験1級聴解問題』(UNICOM.INC)
・とにかく量が多い。
・一級専用なので、一級対策コースには向いている。
・問題はパターン別に集められている。
・絵のある問題は「形」「どこ」「いつ」「グラフ」「その他」の5パターン。
・絵のない問題は「不満」「相談」「指示」「うわさ」「説明」の5パターン。
・模擬試験はない。

日本語総まとめ問題集―新基準対応 (聴解編)
・一級と二級の両方が対象になっている(一級専門ではない)
・絵のある問題しか扱われていない。
・第一章の縮約形の練習は役に立ちそう。
・模擬試験はない。



で、二点目は再生速度を落としても、点数はほとんど上がらないということです。

上で紹介している『実力アップ』の最初に「ウォームアップ」という問題が34問あります。この問題の前半を通常のスピードで再生し、後半をMediaPlayerの再生速度調整で遅くして模擬試験のように解答してもらいました。

遅くして聞いたら点数が上がるのなら耳が慣れていないし、点数が上がらないのなら耳の前に語彙数や文法力などが足りないと考えることができます。で、それぞれに合った練習方法を考えてもらおうと思っていたのです。

でも、結果は、再生速度を落としても点数がまったく上がらなかったのです。それどころか、点数が落ちた人もいました。点数が落ちた人は不注意のミスだと言っていましたが。

で、そこから考えられることは、少なくともこのベトナム人のクラスでは、聴解の点数をあげるには、聴解力そのものを鍛えるよりも、もっと語彙数を増やしたほうが有効なのではないかということでした。

これがどれだけ普遍的なことなのかはわかりません。でも、聴解の点数を上げるためには耳を慣らすだけの練習では役に立たないことがあるのは、考えておきたいと思いました。
posted by 村上吉文 at 15:29 | Comment(4) | TrackBack(0) | 日本語hacks! | このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
僕も中国の学生を対象に、聴解を教えて同じことを考えています。
聴解前に語彙のディクテーションをするのですが、だいたいの学生は最初の段階ではひらがなでしか書きとれません。
つまり、音は聞き取れるけど、それが意味とつながらないってことですね。漢字圏の学生に関しては、漢語をひらがなで書いて正しく発音できるってことが聴解力に結びつくのかもしれません。(カタカナも苦手ですが)
学生には、「答えに必要なとこだけを聞いて!」と言ったりしてますが、そのような聞き方の段階の前に、やっぱり一つひとつの語彙や文をしっかり聞き取れるようになることが必要だなと思うこの頃です。
Posted by みっちー at 2008年08月20日 16:58
こんにちは。ベトナムでも今までと変わらずご活躍のご様子、すばらしいです。
私も2級レベルの学生の聴解の授業(能力試験対策ではなく、テレビ番組を使ったものですが)を担当していて、聴解力と語彙力のことについて考えていました。
このくらいのレベルになると、日本語の音に耳を慣らすというのはもう必要ないですね。なぜかというと、意味は分からないけど、聞いたものを音として再生できる場合がよくあるからです。
で、もちろん語彙が増えるにこしたことはないのですが、それは一朝一夕にできるものではありません。
語彙力の増強と並行して、未知の音連続でもとりあえず頭の中で漢字に変換してみる練習が大事なんじゃないかと考えています。
Posted by みと at 2008年08月22日 01:00
何度もすみません。書き込んだ後で、みっちーさんのコメントに気づき、授業の対象学生について書いた方がいいかなと思いました。
先学期は14人の学生のうち、4人が中国・台湾で、あとが欧・米・豪・タイ・ベトナムでした。
Posted by みと at 2008年08月22日 01:13
台湾で教えています。ニュースの日本語という聴解のクラスで、ひらがな表記したものを学生に与えて、ニュースを聞きながら、漢字やカタカナに変換させるという練習を1年間行いました。このウェブページに気がつく前だったのですが。
与えるニュースは1分前後という短いものですが。また、目でひらがなを追いながら、ニュースを聞くというのは、負担になると思ったので、スピードを15%遅くしました。
聞き取りがよくなったかなと思います。
Posted by 白井 at 2009年06月11日 12:17
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