2008年06月26日

国際交流基金『教材開発』がすごい件

学者やお役所の作る業務用参考書なんて、抽象的な概念別の章立てとかで全然役に立たないというのが昔の定番だったように思うのですが、最近はそうでもないようです。

「総務省「事業計画作成とベンチャー経営の手引き」がすごい件」
http://blog.livedoor.jp/lalha/archives/50215344.html
これ、マジにすごいです。下手なビジネス書なんかより、ずっと実用的。ベンチャーやるつもりがない人でも、仕事術として勉強になるところが山盛りです。

日本語教育の分野では、教材開発 (国際交流基金日本語教授法シリーズ 第14巻)も、なかなかすごいですよ。

理論的な背景なんかは参考文献を紹介するだけにとどめ、あとはかなり実務的なノウハウを紹介しています。進捗管理の仕方とか、リーダーやサブリーダーの役割なんかまで書いてあります。

薄い本ですし、二級以上の漢字はルビがあるので、日本語を母語としない日本語教師でもけっこう簡単に読めるでしょう。ある程度日本語教育の経験のある母語話者なら一時間ぐらいで読ます。

とは言っても、決してありきたりなことしか書いていないわけではありません。私にとっては、読みたいと思いつつもまだ手をつけていなかったガニェのID理論が一枚の表にまとめられていたところ(26ページ)が参考になりました。表というか、ガニェの枠組みに日本語教育の実例が落とし込んであります。

ただ、薄い本ではあるので、ここまで内容をそぎ落とすには、かなり葛藤もあったことだろうと思います。たとえば、これはワードの古いバージョンしか持っていない人には意味がないから入れなかったんだろうし、これこれなんかは誤解されると法的リスクを負いかねないので入れなかったんでしょう。

補足としては役に立つかもしれませんので、ご興味のある方は以下もご覧ください。

「むらログ:ワードはPDF形式でも保存できる」
http://mongolia.seesaa.net/article/101478742.html

「むらログ:日本語教師が教材を自由にコピーできる時代が来た」
http://mongolia.seesaa.net/article/49793806.html

「むらログ: 日本語教育機関用カレンダー無料贈呈!」
http://mongolia.seesaa.net/article/82011920.html
(無断でコピーできる著作権の新しい形について説明しています)



posted by 村上吉文 at 05:12 | Comment(2) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
村上先生、こんにちは。

基金教授法シリーズ14巻「教材開発」、取り上げてくださり、ありがとうございます。実はこの本の編集、私が担当させていただきました(いろんなところで仕事させていただいてます……)。

初めて原稿をいただいてから本という形になるまで約2年ほど、かかったのすが、現場で役立つノウハウてんこもりですよね。テキスト分析などもバッチリ視覚化されてしまうのですごい(笑)。

いろ〜んなことをクリアして出来上がった本だけに、私にとっても思い入れのある1冊です。世界中の現場で役立ってくれると嬉しいです。
Posted by 編集者A at 2008年06月26日 17:49
いやー、もっと早くコメントしたかったんですが、そちらへの締め切りを抱えていると、なんか申し訳なくて・・・。
修正版ももうすぐ送りますので。

それにしても、この業界って妙に狭いですねー。Aさんがこれを担当していたなんて全然知りませんでしたよ。「あとがき」とかもなかったし・・・。編集者への謝辞とか、まあ、ページを削らなければならなかったので厳しかったのかなあ。
Posted by 村上吉文 at 2008年06月28日 06:37
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